釜石市議会 > 2012-03-15 >
03月15日-04号

  • "普代村"(/)
ツイート シェア
  1. 釜石市議会 2012-03-15
    03月15日-04号


    取得元: 釜石市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-09
    平成24年  3月 定例会(第2号)            平成24年釜石市議会3月定例会会議録---------------------------------------          平成24年3月15日木曜日--------------------------------------- 議事日程 第4号   平成24年3月15日(木) 定例会         午後1時会議を開く第1 本日の会議録署名議員の指名第2 市政に関する一般質問(続)  7 (1) 市長施政方針演述について          14番 山崎議員    (2) 教育委員長教育行政方針演述について         〃  8 (1) 大震災後の生活再建について         5番 坂本議員    (2) 高齢者福祉について                 〃  9 (1) 生活の再建について             4番 合田議員    (2) 土木行政について                  〃    (3) 教育行政について                  〃    (4) 観光交流について                  〃                                     以上--------------------------------------- 本日の会議に付した事件第1 本日の会議録署名議員の指名……………………………………………………… 144第2 市政に関する一般質問(続)  7 (1) 市長施政方針演述について          14番 山崎議員…… 145    (2) 教育委員長教育行政方針演述について         〃  …… 146  8 (1) 大震災後の生活再建について         5番 坂本議員…… 159    (2) 高齢者福祉について                 〃  …… 161  9 (1) 生活の再建について             4番 合田議員…… 174    (2) 土木行政について                  〃  …… 175    (3) 教育行政について                  〃  …… 176    (4) 観光交流について                  〃  ………〃--------------------------------------- 出席議員(20名)                 議長   海老原正人君                 副議長  佐々木 透君                  1番  木村琳藏君                  2番  平野弘之君                  3番  遠藤幸徳君                  4番  合田良雄君                  5番  坂本良子君                  6番  細田孝子君                  7番  古川愛明君                  8番  小鯖利弘君                  9番  和田松男君                  10番  菊池秀明君                  11番  赤崎光男君                  12番  川崎勇一君                  13番  菊池 孝君                  14番  山崎長栄君                  15番  佐々木義昭君                  16番  水野昭利君                  17番  松坂喜史君                  19番  菅原規夫君--------------------------------------- 説明のため出席した者         市長           野田武則君         副市長          若崎正光君         総務企画部長       山崎秀樹君         市民生活部長       山崎義勝君         保健福祉部長       野田喜一君         産業振興部長       小林俊輔君         建設部長         洞口政伸君         企業立地推進本部副本部長 佐々隆裕君         復興推進本部都市整備推進室長                      小友光晴君         総合政策課長       新張英明君         総務課長         菊池久彦君         財政課長         古澤茂樹君         地域づくり推進課長    大久保孝信君         防災課長         山田 守君         高齢介護福祉課長     古川至言君         観光交流課長       山崎孝之君         水産農林課長       佐野美徳君         水産農林課主幹      菊池行夫君         都市計画課長       清水啓之君         復興推進本部事務局次長  嶋田賢和君         復興推進本部仮設住宅運営センター所長                      小池幸一君         会計管理者        清野信雄君         水道事業所長       川崎悦三郎君         教育長          川崎一弘君         教育次長         菊池郁夫君         総務学事課長       村井大司君         総務学事課指導監     菊池拓也君         生涯学習スポーツ課長   和田利男君         図書館長         猪又勝則君         学校給食センター所長   畠山宗洋君         監査委員         前川公二君--------------------------------------- 事務局職員出席者         事務局長         岡崎貞夫         事務局次長        竹澤 隆         事務局次長        佐々木道弘---------------------------------------               午後1時会議を開く ○議長(海老原正人君) 本日の出席議員は20名で定足数に達しておりますので、会議は成立いたしました。 直ちに本日の会議を開きます。本日の議事は、お手元の議事日程第4号により進めます。--------------------------------------- ○議長(海老原正人君) 日程第1、本日の会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員には会議規則第81条の規定により、議長において12番川崎勇一さん及び15番佐々木義昭さんを指名いたします。--------------------------------------- ○議長(海老原正人君) 日程第2、市政に関する一般質問を行います。順次質問を許します。14番山崎長栄さん、質問席に登壇を願います。(拍手)  〔14番山崎長栄君登壇〕 ◆14番(山崎長栄君) 今定例会におきましては、市長の施政方針演述、そして教育委員長教育行政方針演述について質問をさせていただきたいと存じます。 あの3・11から早くも1年が経過をいたしました。ぶつけどころのない憤りと悔しさ、そして深い悲しみに耐えて、再び早春の時節がめぐってきました。時節はめぐっても、あの日失ったすべてのものは、もう戻ることも返ることもかなうことはないわけであります。失われたものの大きさに改めて気づかされ、心痛む日々が続いております。 しかし、生かされた者の責務として、いつまでもいえることのできない思いを抱えながらも、震災からの復興は進めていかなくてはなりません。 そこで初めに、未曾有と言われるこのたびの大震災から何を学び、何を教訓として得られたのか、そのことを復興にどう生かしていかれるのか、基本的スタンスについてお尋ねをしておきたいと存じます。 戦前の1934年11月に発行されました「経済往来」に「天災と国防」と題する小論文が掲載されました。その中に、「文明が進むほど、天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それが一向にできていないのはどういうわけであるか」との記述があります。論文の寄稿者は、自然学者であり物理学者でもあった寺田寅彦でありますが、まさにこの指摘は、東日本大震災においての被害拡大は近代科学文明に君臨する浅はかな人知への警鐘であったのだと今さらにして驚かされたのであります。 また、三陸沿岸の住民は、有史来、幾たびもの津波来襲を経験しながら、そのとうとい経験を「津波文化」として今日まで語りつないできています。「津波文化」とは、決してその脅威には逆らわず、自然を読み取り、読み解く力を磨き、そして犠牲者の最小化を願う浜人の生き残りをかけた究極の「いなしの文化」ではないのかと考えますが、これらの私見についての所感を賜りたいと存じます。 施政方針演述で市長は、二度と同じ惨事を繰り返さないため、釜石市東日本大震災検証委員会を設置し、市の災害対応、課題、住民の避難行動などについて検証作業が行われておりますが、結果の取りまとめを受け、早期に地域防災計画の見直しを実施いたしますと述べられております。これまで市行政は、先達の警鐘や沿岸地域に継承されるとうとい経験や知恵をどう取り入れ、対処してこられたのかをお聞きするとともに、結果はどうだったのかにつきましても検証を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 市内には海岸線に沿って、自然と共存しながら漁業を営む大小の集落があります。入江での磯漁や養殖で生計を立て、その合間には田畑を耕し、里山に手を入れる、そのようなライフスタイルが地縁型社会とも言うべきコミュニティーを築いてきました。しかし、近年はグローバル化する経済や産業政策に押し流され、過疎化の一途を余儀なくされてきたわけであります。 大震災によって壊滅的に被災したその集落につきましても、今、地域住民との議論が進められながら土地利用計画が確定をされ、住宅の再建が緒につこうとしています。しかし、もとの集落に住宅が再建されたとしましても、震災以前と変わらぬ産業施策の視点だけで漁村集落を見るなら、過疎化の進行を食いとめることは極めて難しいものと存じます。集落に住み続けられる生活の再建には、環境や社会政策を考えながら、観光施策の取り込み、あるいは新産業の創出区域として新たな可能性も追求すべきと考えます。 また、被災した集落の主産業である養殖漁業の復活は生活再建の柱でありますが、高齢化や後継者難を乗り越えられる技術革新も求められています。 集落の存続は単に集落の存亡だけではなく、国土保全機能生物多様性機能の低下にもつながると思われますが、復興まちづくり基本計画の中で漁村集落の生活の再建をどのように位置づけ、施策を展開されていくのかお尋ねをいたします。 地域防災計画見直し策定についてお伺いをいたします。 検証作業の結果の取りまとめを受けて実施したいとの意向ですが、策定には行政と市民が危機管理を共有するために、広く市民の意見を反映できる工夫も必要ではないかと存じます。災害は、地域の形態や条件によって姿が変わります。それぞれの地域を熟知した防災計画でなければならないものと考えますが、策定までの手順等についてお聞かせください。 次に、スポーツを取り入れたまちづくりについてお尋ねをいたします。 市長の演述で、歴史、文化やスポーツを生かしたまちづくりの中で、ラグビーやトライアスロンによるスポーツ振興、さらに岩手国体への対応、ラグビーワールドカップの誘致について触れられております。 近年、まちおこしのコンテンツの一つとして、マラソンなど市民参加型スポーツイベント観戦型スポーツイベントの開催、あるいはスポーツ合宿キャンプ誘致などを実施することで生ずる経済波及効果が注目を集めています。 電通と早稲田大学による共同調査「地方自治体におけるスポーツ施策イノベーション調査」によりますと、多くの自治体がスポーツを通じた地域の活性化に高い関心を持ち、従来の健康や教育といった効果に加え、観光・スポーツ関連産業振興といった経済的な効果をスポーツ施策の目的とする自治体がふえつつあり、スポーツによる地域活性化とその経済効果を求める自治体が今後さらに増加すると予測をしております。 さいたま市ではスポーツ分野において新たな観光・交流人口拡大を図るため、市のスポーツに関するシティセールス関連マーケティング活動を専門的に展開する組織として、本格的スポーツコミッションとしては国内発となるさいたまスポーツコミッションを昨年10月に設立をさせております。 また、国レベルにおきましてはスポーツ基本法が昨年の6月に制定され、観光庁がスポーツ推進室を設置するなど、スポーツを取り巻く新しい動きが活発化してきています。 今後の当市の復興を見据えた場合におきましても、スポーツと観光の果たす役割は決して小さくはなく、このスポーツツーリズムの一層の推進とスポーツを通じて観光価値の創造を図る積極的な取り組みを本格的に進めるべきです。所見をお伺いいたします。 次に、教育行政方針演述についてであります。 大震災を通して、学校や地域での防災教育の重要性が再確認されたところでありますが、演述では、津波防災教育について、指導の内容を改善しながら継続的に取り組むことが述べられております。 当市におきましては、文科省の防災教育支援モデル地域事業の指定を受け、小中学生に対する防災教育が推進をされ、大震災では功を奏したわけであります。 文科省の24年度予算案では、新規事業として実践的防災教育総合支援事業が盛られています。同事業は、大震災の教訓を踏まえた新たな防災教育の指導方法や教育手法の開発・普及を行うとともに、緊急地震速報などを活用した避難訓練等の先進的・実践的な教育を行う学校へ支援をするという事業です。全国から1000校のモデル校を募るとしておりますが、応募されるのかどうかお尋ねをいたします。また、応募されないとした場合の防災教育のあり方、進め方についてお伺いをいたしまして、この場での質問とさせていただきます。(拍手) ○議長(海老原正人君) 市長。  〔市長野田武則君登壇〕 ◎市長(野田武則君) 山崎議員の御質問にお答えをいたします。 このたびの大震災から何を学び、そのことを復興にどう生かしていくのかとの御質問でございます。 東日本大震災では、1000人を超えるとうとい人命や多くの貴重な財産を失うこととなり、こうした被災の状況を踏まえる中で、これまでの災害に対する備えや災害発生直後の対応、さらには復旧に向けた取り組みなど、さまざまな場面、場面で多くのことを今後への教訓や反省として学んだものと認識をしております。 復興まちづくり基本計画の基本理念においては、こうしたことに留意し、今後のまちづくりのすべての出発点と位置づけると同時に、改めて自然との向き合い方では、畏敬の念を持ち、そのもとで暮らしが成り立っていることを考慮した上でまちづくりを行っていくことといたしたところであります。 このことは、当市ではこれまで津波や大雨などの大きな自然災害に見舞われてきましたが、今後もこうした災害が発生し得ることを念頭に置きながら、日ごろの暮らしぶりまちづくりなどにおける考え方やあり方を変えていく必要があると感じたことによるものであります。 このためには、防潮堤等、既存の構造物の一定の復旧整備は行うものの、避難とその誘導のあり方を初め、災害発生時の混乱を回避できるような備え、あるいは災害に対する日ごろからの意識づくりなどを確実に行っていくことが何よりも大切であると考え、被災による犠牲者や財産の喪失を極力小さくする減災への対応を最も優先する取り組みとして位置づけることとしたものであります。 具体的な例を挙げますと、被災直後の停電により各方面との情報連絡体制が機能しないなど対応が後手に回った反省から、主要な公共施設などにおいて停電を回避できるようにするための再生可能エネルギーを活用したスマートコミュニティの導入など、これからの時代にふさわしい取り組みの一環として具体化したいと考えているところであります。 また、被災直後から学校が果たした役割が大きかったことを踏まえ、被災した学校の建設に当たっては、生活や防災面などの複合的な機能を兼ね備えた地域の拠点施設としての整備を検討することとしております。 さらに、犠牲となられた方々の大半を高齢者が占めていたこと、海岸部より内陸側に位置する場所で犠牲となっている方が多いこと、あるいは避難誘導や水門閉鎖などの職務遂行中に犠牲となられた方もおり、例えば水門の遠隔操作化など、こうした事態の背景の具体的な改善に取り組むことが大切であると考えております。 このほか、水産業を中心とする第1次産業や自然景観を活用した観光などにおいては、自然と調和のとれたあり方のもとで、持続性のある産業活動を維持していく必要があります。同時に、こうした自然との関係性の構築以外の生活面では、被災時に各所で道路が寸断され、孤立した地区があったことから、より安全度の高い、機能的な道路ネットワークの形成に取り組む必要があります。 また、被災後では、津波被害がなかった地区での炊き出しなど後方支援が大きな役割を果たしましたが、日ごろのコミュニティーにおける自助、共助のあり方の大切さを感じており、こうした面での意識づくりや活動の奨励などを行う必要があると考え、この点も基本理念の中に取り入れたものであります。 以上のように、今回の教訓や反省をこれからのまちづくりに具体的に反映させると同時に、その内容では先駆的な取り組みに結びつけていくことを基本的姿勢とし、努力してまいりたいと存じます。 また、引き続き、今回の大震災の検証作業を行う中で改善すべき点を確認し、関係者の皆さんのお考えなどを踏まえながら、今後の復旧、復興に向けた取り組みの中で対応してまいりたいと考えております。 以上をもちまして、私からの答弁は終わりますが、引き続き、教育長並びに関係部長が答弁をいたします。 ○議長(海老原正人君) 教育長。  〔教育長川崎一弘君登壇〕 ◎教育長(川崎一弘君) 私からは、実践的防災教育総合支援事業についての御質問にお答えいたします。 当市の防災教育は、群馬大学と連携しながら取り組んできた津波防災教育により、震災時に命を守った児童・生徒が何人もいたことは、取り組みの効果であったと同時に、全ての幼い命を救うことができなかったことも事実であります。 今後、その課題や改善点を明らかにし、指導の内容を改善しながら継続的に取り組んでいくことや、学習指導要領における安全に関する指導内容において、子供が安全に関する情報を正しく判断し、安全のための行動に結びつけることができるようにすること、すなわち、自他の危険予測・危険回避の能力を身につけることができるようにする観点から、発達の段階を踏まえ、「防犯・交通安全・防災」を「いのちの教育」として、学校の教育活動全体で取り組んでいくこととしております。 文部科学省において、東日本大震災を契機に、教職員や児童・生徒等の防災に対する意識の向上等を図り、安全を確保するため、震災の教訓を踏まえた防災に関する指導方法等の開発・普及等のための支援事業を実施するとともに、地域の防災関係機関との連携体制を構築・強化する実践的防災教育総合支援事業が平成24年度予算に盛り込まれております。 教育委員会としても積極的にそれを活用し、今まで行ってきた防災教育の課題等を改善しながら、学校防災体制の再構築を図っていきたいと考えております。 ○議長(海老原正人君) 市民生活部長。  〔市民生活部長山崎義勝君登壇〕 ◎市民生活部長(山崎義勝君) 私からは、「いなしの文化」に対する所感、先達の警鐘や沿岸地域の経験をどう取り入れてきたのか、及び防災計画の見直しの策定手順についての御質問にお答えします。 まず、「いなしの文化」に対する所感についての質問ですが、今回の大震災では、だれもが経験したことのない未曾有の甚大な被害をもたらしましたが、近年の情報化社会の急速な進展や科学の発展、各種防災施設などの整備により、人間は自然を征服したとの錯覚や思い上がりがあったことを気づかせてくれたものと思います。 私たちは、豊かな恵みをもたらす海が、時には厳しい牙をむくことを忘れていたのではないでしょうか。また、経済的な発展や利便性を追求することを優先してきた結果、自然への畏敬の念を忘れてきたのではないでしょうか。 先人たちは、海、山、川の自然の恵みを受け、自然を読み取り、自然との共生を基本に生活をしてきました。「津波文化」とは、まさに自然との折り合いの中で先人たちが学び、経験し、生きてきた知恵であり、その中に「いなしの文化」が基本にあるものと認識しております。 今後とも、自然との共生を図りながら、これまでの「津波文化」に、今回の大震災の教訓を生かした新たな「津波文化」を加え、それらを後世に伝えながら、行政と住民が一体となった防災に強いまちづくりを目指してまいります。 次に、先達の警鐘や沿岸地域に継承されるとうとい経験などをどう取り入れて対処してきたのか、また、その対処してきた結果について検証すべきとの御質問にお答えをいたします。 津波災害の歴史を振り返るとき、市内の沿岸部には海嘯記念碑津波記念碑などが40基ほど建立されておりますが、その石碑に記載されている内容は、私達の先人が経験し、苦しみと悲しみの中から学んだ最もシンプルな津波防災の教訓であることを忘れてはなりません。 いま一度、市民一人一人が、先人の経験や知恵を学び、津波の恐ろしさを風化させることなく、防災意識の向上につなげる必要があると思います。 市としてはこれまで、先人の教訓を生かすため、地元の経験者からの聞き取りを行いながら津波一次避難場所を選定し、昭和8年3月3日に発生した昭和三陸大津波の日に合わせて津波避難訓練を継続的に実施してきました。 また、平成7年には、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、自主防災組織の結成に取り組み、近年では地域が自主的に防災訓練に取り組むなど、防災意識の高まりも見えてきた状況にもありました。学校教育の中にも防災教育を取り入れ、地域と一体となった防災活動も展開してきました。 また、防災講演会を初め、市立図書館における津波・自然災害関連「災害から身を守る」図書展、郷土資料館での三陸津波写真資料展、児童・生徒と大津波経験者とのお話の会なども開催してきました。 しかし、今回の大震災におきまして、1000人以上もの死亡者や行方不明者が出ており、結果として取り組みが不充分だったと言わざるを得ません。 大勢の方々が亡くなった要因、一つではなく複雑かつ多様性を含んでおりますが、なぜ、先人が残した最もシンプルな津波防災の教訓を生かすことができなかったのか、今後とも検証する必要があるものと認識しております。 次に、地域防災計画の見直しについての御質問にお答えします。 現在、地域防災計画の見直しにつきましては、検証作業を進めておりますので、その検証結果を十分に踏まえ、市民の意見や提言を聞く機会を設けながら、来年度上半期を目標に見直しを行う予定としております。 また、釜石市内の地形は海、山、川が入り組んでおり、各地域によって津波災害、土砂災害、洪水災害など、災害の事象が異なり、その対応も異なって参ります。 自然災害を最小限に食いとめるためには、行政と市民が危機管理の意識を共有して防災活動を展開することが最も重要であり、そのためには、地域防災計画を基本としながら、各地域と一緒になって防災活動計画等を策定することも重要なことと考えております。 ○議長(海老原正人君) 産業振興部長。  〔産業振興部長小林俊輔君登壇〕 ◎産業振興部長(小林俊輔君) 私からは、漁村集落の再建及びスポーツツーリズムの推進についての御質問にお答えします。 まず、漁村集落の再建を復興まちづくり計画にどう位置づけ、施策を展開するのかとの御質問ですが、被災地の復興を図るためには、安全に暮らせるまちの実現、生活の基盤づくり、地域経済の再建、新たな希望づくりを基本方針として取り組んでいくことが必要と考え、復興まちづくり基本計画を策定しました。 これまで21地区において、防災や土地利用の考え方について説明し、住民からは大枠での合意を得ており、今後は具体の事業実施に向け取り組んでまいります。 漁村集落の生活再建に当たっては、漁業・養殖業の復活が最優先課題となっております。このことから、市では短期的な再建策としてワカメ養殖漁業の再開を図るため、ワカメ養殖施設の設置、共同利用漁船の確保への助成、漁船の係留場所や陸揚げ場所の造成のための応急復旧を実施しております。 現在、ワカメ養殖施設については、国の復旧支援事業を活用し、987台の設置が完了し、被災前1370台の72%まで回復しております。 また、共同利用漁船については、被災漁船隻数1544隻に対して復旧した漁船が349隻で復旧率23%、うち補助事業として要望した隻数912隻に対しては、引き渡された隻数は272隻、30%となっており、完全に引き渡しが終了するにはあと1年半ほどかかる見込みとなっております。 また、水揚げ岸壁については、災害復旧事業を活用し、かさ上げした漁港は15港中9港となっており、十分な水揚げ体制とはなっていないものの、当面する水揚げ作業には対応できる見込みとなっています。 また、3年ほどかかるホタテ養殖に対しては養殖期間の短縮を図るため、大型稚貝127万個を北海道から購入しており、早ければ本年12月にも水揚げされる状況となっております。 しかし、まだワカメの塩蔵加工作業に必要なボイルがま、冷水タンク、脱水機やホタテ養殖作業に必要な穴あけ機、耳吊機、貝洗浄機などが不十分なまま、手作業状態となっておりますので、現在進めております各種支援制度を活用して整備し、漁家収入の確保、生活の安定を図ってまいりたいと考えております。 あわせて、従来からの課題であった担い手の確保、養殖作業の省力化、作業の共同化を進めるためにも、平成24年度で計画されております「がんばる養殖業」や「がんばる漁業」復興支援事業等を活用し、後継者や担い手に魅力ある漁業の実現に向け、取り組んでまいります。 また、地域の資源を最大限生かすためにも、観光との連携、新産業への取り組みといった新たな光づくりが必要と考えており、これまで取り組んできたグリーンツーリズムや都市と漁村の交流事業のさらなる展開を図るとともに、漁協を核とした販売業者・水産加工業者との連携による6次産業化などについて、大学や研究機関等の指導、協力をいただきながら取り組んでまいりまいります。 いずれ漁村集落の再建のため、復興交付金事業などを活用しながら、生活基盤を早急に再建し、水産業の復旧・復興に全力で取り組んでまいります。 次に、スポーツツーリズムの推進とスポーツを通じた観光価値の創造についての御質問にお答えします。 国では、平成21年12月、国を挙げて観光立国の実現に取り組むため、国土交通大臣を本部長に、全府省の副大臣等で構成する観光立国推進本部を立ち上げております。 この推進本部のもとに置かれたワーキングチームにおいて、平成22年1月にスポーツ観光が取り上げられ、これを受け、同年5月に関係団体や関係省庁が一堂に会するスポーツ・ツーリズム推進連絡会議が設置されております。 スポーツ・ツーリズム推進連絡会議では、平成23年6月にスポーツツーリズム推進基本方針を示し、スポーツツーリズムについて次のように説明しております。 スポーツとツーリズムの融合で目指すべき姿として、スポーツを通じて新しい旅行の魅力をつくり出し、我が国の多種多様な地域観光資源を顕在化させ、訪日旅行・国内観光の活性化を図る「より豊かなニッポン観光の創造」、また、目的地へ旅する明確な理由をつくり出し、新しい価値・感動とともに新たなビジネス・環境を創出する「スポーツとツーリズムの更なる融合」です。基本方針では、スポーツツーリズムにより、観光振興のみならず、「スポーツ立国戦略」と協調したスポーツ振興はもちろん、健康増進、産業振興など幅広い効果が期待されるとしております。そして、スポーツツーリズムを活用した観光まちづくりには、スポーツと観光の垣根を越えて、地方公共団体内や各種団体間で連携・協働し、大会や合宿の誘致などを観光まちづくりの一環として施策に位置づける必要があるとしております。 スポーツツーリズムには、「観るスポーツ」と観光、「するスポーツ」と観光、「支えるスポーツ」と観光の3つの形態があります。 当市におきましては、これまでもラグビーやトライアスロン、仙人峠マラソンを初めとする県大会以上の規模のスポーツイベントの開催に対して支援してまいりました。また、地元のラグビーチーム釜石シーウェイブスに対しましてもさまざまな形での支援を行っております。 東日本大震災により、根浜海岸などの観光施設やインフラが被災していることや仮設住宅の建設により体育施設が使用できない状況にありますが、現在、市では新しいスポーツ推進計画において、平成28年度の岩手国体、平成31年度のラグビーワールドカップ誘致に向け取り組んでおります。 今後、復旧・復興が進む中で、市内の関係団体と連携・協働しながら、これまでの観光振興策とあわせスポーツツーリズムにも取り組んでまいります。 以上をもちまして、答弁を終わります。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) 再質問をさせていただきたいと思います。 初めに、教育委員会にお尋ねをいたしたいと思います。 今回の震災で社会教育施設が、市民文化会館など大きな被害を受けておりますが、その施設、社会教育施設がどの程度、どこの何が被災をされたのか、最初にお尋ねをいたします。 ○議長(海老原正人君) 生涯学習スポーツ課長。 ◎生涯学習スポーツ課長(和田利男君) 社会教育施設のお尋ねでございましたけれども、まず公民館でございます。 従来、本館・分館合わせて15の公民館がありましたけれども、そのうち釜石公民館の浜町分館については流失、小佐野公民館については、現在小佐野コミュニティー会館が一部使えない状況になってございます。同じく小佐野公民館の野田団地分館については敷地が一部ずれてしまいまして、したがって建物も基礎部分が少しゆがんでいるような状況になって使えない状況になってございまして、仮設の建物を置いてございます。それから鵜住居公民館についても流失ということになってございますし、鵜住居公民館の室浜公民館についても流失をしてしまったということになります。 あと栗橋公民館でございますが、中村分館が多少水道が壊れましたけれども復旧してございます。横内分館については、石組みの一部をそれから建物の壁が一部崩壊をしまして、現在工事中でございます。それから、唐丹公民館になりますけれども、敷地が擁壁が少し崩れてしまいましてひびが入ったということで、現在養生をしている状況でございます。 そのほかには、郷土資料館がショーケースの一部、あるいは戦災資料館が流失をしたと。あと、細いところで言いますと大石地域の交流センターが水道施設が壊れましたので、これは復旧してございます。そのほかにも図書館ですとか、それから市民文化会館、そういったところが被災をしているということでございます。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) その社会教育施設の復旧についてお尋ねをするわけですけれども、昨日も市民文化会館のお話が出ましたが、今回のこの復旧復興に向けて政府の考え方は、この復興対象事業の40事業の中にこの社会教育施設の復旧は、そこの40事業の中には含まれていないわけです。なぜこの復興交付金の対象外になったのかは存じておりませんが、おかしいと、そのように思うわけです。同じ住民サイドとすれば、集会所等については、これは同じ地域のコミュニティーの中心拠点でありながら、これは復興事業の中で事業の対象になっていく、片や社会教育施設についてはこの復興対象事業から外れていると。全くおかしいと思うんです。 ちなみに、この市民文化会館の場合でも、この文科省に言わせますと公立社会教育施設災害復旧費補助金制度を使って復旧をさせなさいということでありますし、例えば、流失した公民館につきましても原形復旧ですから、津波が来ようと来まいともとのところに復旧をさせなさいというのがこの今政府が言っている公立社会教育施設災害復旧費補助金制度なわけですよ。これだって全く現場を無視した制度ではないかというように考えられるわけです。 この問題を過日の衆議院の予算委員会でも取り上げていただきました。特にも陸前高田市等、すべて流されて、図書館も体育館もすべて流されてしまっているというようなことで強い要望が陸前高田市からも上がっているということで、その予算委員会のやりとりの中では、政府のほうは陸前高田市に職員を派遣をして、そして事情を聞いた上で、そして対応してまいりたいと、かなり柔軟な答弁をなされておりました。 当市にあっては、この社会教育施設の復旧について、どのように臨んでいかれるのかお尋ねをしたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 教育次長。
    ◎教育次長(菊池郁夫君) お答えいたします。 議員さんおっしゃるとおり、我々といたしましてもこの社会教育施設の復旧に関しては苦慮してございます。ちなみに市民文化会館ですけれども、現在地で復旧するにしても原状に戻すだけで15億かかると。ただ、老朽化した部分、あるいは波をかぶってもとりあえず原形は残っている部分等もあります。それらを修理するとしたら19億近いお金がかかるということで、それを全部災害復旧費で見ていただけるかどうかわからないという状況です。 さらに、現在地が浸水地域なものですから、もし移転改築するとなった場合には40億近い予算が見込まれますが、それについても財源がはっきりしない状況で、なかなか移転改築に踏み切ることができないという状況がございます。 議員さんおっしゃるとおり、陸前高田あるいは宮古市のほうでも市民文化会館、被災しているわけでございますけれども、仮に災害復旧で復旧するにしても期限が切られておりまして、現実的にはなかなか災害復旧事業を導入することができないという現実もございますので、災害復旧を使うとしたら、その期限を撤廃してもらうとか、そういったことを要望していかなくてはならないのかなということも考えてございますし、また、その災害復旧だけで賄い切れない部分についての財源についても、この期成同盟会等を通じて国のほうに要望していかなければならないのかなというふうに考えてございます。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) 既に市長のほうは御存じかと思うんですが、この社会教育施設の復旧については、今、答弁されたような状況下にあるわけです。これはやはり国に対して、そもそもその復興事業の40事業に入らなかったということ自体がおかしい話であって、これらは社会教育施設の復旧も一緒に進めていかなければ、このまちの復興はあり得ないわけですから、これは政府に物を申していくべきだと、これ復興対策室のほうではどう思っておられるのかお尋ねをしておきたいと思いますし、まだ問題は、ペーパーワークがかなりあると、なかなか認めてもらえないというようなことも今指摘をされているわけです。できればこの復興交付金の対象にしてもらえれば一番いいわけですが、その辺について、市長部局側のほうの意見をお尋ねいたします。 ○議長(海老原正人君) 復興推進本部事務局次長。 ◎復興推進本部事務局次長(嶋田賢和君) 釜石市の復興に際して市民文化会館のような文化芸術活動は欠かせぬものであり、その重要性は疑いのないところでございます。 現行の制度につきましても、議員おっしゃるとおりいわゆる5省40事業には含まれておりませんで、災害復旧をメーンにプラスアルファの部分は交付金等を使って工夫してというような形で、ちょっと煮え切らない態度というのが国の実情かと思いますので、それは市のまちづくり全体をどうしていくのかという熟度を高めつつ、一方でやはり財源がないと話になりませんので、そこはしっかりと要望の声を上げていく必要があるのかなと考えております。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) 我々にできることは後押しをしてまいりたいと、そのようにも思いますので、ぜひここは頑張っていただきたいと思います。 さて、きのう6時過ぎに大震災後、初めての津波注意報が発令になったわけですが、警察、消防、防災関係者、市の防災課等も本当に、あの悪夢の再来かと本当にそういう心配をしたわけでありますが、いろいろときのうのあの津波注意報に対する対応を見ておりましても、やはり検証委員会の検証を待たずとも、今すぐ手を打たなければならない課題があるのかなと、そういったことを実は感じ取っておりました。 例えば、交通規制がされていない。これは市の権限外のお話ですが、あの大震災で車の中で亡くなった方々が大変多かったわけです。渋滞に巻き込まれて高台まで到達できなかった、そういった多くの方々が亡くなられております。 きのうも松原、この大渡間が渋滞になってしまったと。もしあれが、津波がこの間のような津波じゃなくとも車が流出されるような津波が襲来したならば、たくさんの犠牲者がまた出ただろうと、そのように思うわけです。この交通規制について、やはりこれは大至急、検証委員会の検討を待つのではなくて、手を打つべきではないのかなと。 あるいはまた、松原、あの釜石駅間といいますか大渡間については、わきに新日鐵の構内があるわけです。津波注意報あるいは警報が出た際には、あの構内を通していただくと、あそこに逃げ込むことができると、そのようなことをぜひ早々に話し合いをして、お願いを新日鐵に対してするべきだと思うんですよ。 あるいは、GPS波浪計、釜石沖にも設置をしていただきました。これからの情報が全くその現場で対応しているその関係者の皆さんにどの程度伝わっているのか。仮にあの大震災の際にGPSで得られた情報が現場で、例えば、水門の閉鎖あるいは誘導に当たっているそういう防災関係者に情報が伝わっていれば、水門を閉めることもなく逃げることができたのではないかなと、そのように思うんですが、今のところ現場にいる、例えば、消防ポンプ車のすべてに情報を伝えるということはまだ不可能な状況にはありますが、これだって早々に沖でいち早く津波が来ているというのは、これは感知できるわけですから、これは早々にやはりこれもやってほしい。そのようにきのう思ったわけです。 この3点についてお尋ねをします。 ○議長(海老原正人君) 防災課長。 ◎防災課長(山田守君) お答えします。 まず、車避難についてですが、これはいろんな課題があったわけですけれども、中央防災会議等でも原則は徒歩で、あとは地域によって車という形になるかと思います。当市でも今回、車の避難でかなりの方が亡くなっているわけですが、早急にこれは手当て、車を使う人の対象を決めたり、市とすれば車専用の避難道路、こういう整備もこれから新しいまちづくりの中でしていかなきゃならないのかなと思っていますので、これは早急に検討していかなければならないし、現在においてはやはり車を捨てて高台に逃げなさいというしか、現在のところはその周知しかないと思っています。これは地域防災計画等見直す中で考えていきたいと思っています。 また、製鐵所の構内ということで、これは災害時等には通行をお願いして通してもらうということになっていますので、津波等に対しても、もう一度協議をして利用できるような形を、すぐに利用できるような形をとっていきたいと思っています。 また、GPS波浪計、これについては、今回の震災で、沖合20キロにあるわけですが、ちょうど9分前に6.5メートルの津波を観測していたわけですけれども、これは市とすれば、情報がもう停電でわからなかったということでその情報を得られなかったわけですが、今回、気象庁のほうもこのGPS波浪計、各沖にあるわけですけれども、この予報も出すことになりましたので、これも広くテレビやラジオ等で放送になることとなります。 また、きのうにおいては、うちのほうでしっかりとその情報をパソコンで見ながら、波がどうなっているかがしっかりとわかりましたので、今後、停電の際でも発電機等を使って起動させ、その情報を得たらすぐ知らせるようなシステムをつくっていきたいと考えております。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) まず、車で逃げるという話、これは例えばきのうの場合、夕方ですから、いつも最近あの国道は混むんですよね。津波注意報が出たので混んだというのじゃないんですよ。普段からあそこは朝晩混んでいるというその道路ですから、そういう場合に、例えば、いち早くその消防なり警察が行って構内に誘導するというようなことがあれば、その万が一の場合に多くの命が救われるだろうと、そのように思うわけです。そういうことになっておりますではなくて、実際に誘導員が立って、そして誘導しなければならないと思うんですよ。 それから、きのうも消防署におりまして、GPS波浪計はどうなっているんだ、変化あったのかということで消防署の職員に問い合わせをさせていただきました。変化がないということでしたが、そういう情報を共有しなきゃだめだと思うんですよ、実際に対応に当たっているその防災関係者に。そのシステムをこの4月から危機管理監の体制が敷かれますから、そういう中で、ぜひ考えていっていただきたい。あるいは4月を待たなくとも急いで、今、課長答弁されたようなことで対応してもらえればなと思います。 それから、車を捨てて徒歩で逃げるというのは、これは非現実的なんですよ。車でなければ助からなかった命もあります。基本的には車を捨てろというのは、これは理論的にはわかりますが、これが現実的に車で逃げるなといったってそうはいきません。ですから、もっと、机上の理論ではなくて現実に対応していかなきゃならないと思います。この車で警報が出た際に逃げるということについて、もっともっと深い議論をしていくべきだなと、そのことだけお話しをさせていただきたいと思います。 きょうは寺田寅彦のお話、それから先達の警鐘、それから今までこの地域に住む、特にも浜で生きてこられた方々の古来伝わる、継承されてきましたとうとい経験が今回のこの大震災では生かされたのかどうなのかということをお尋ねさせていただきました。 答弁にありましたように、津波情報あるいは地震に対する情報、あるいはハード面での整備がなされてきている、あるいは自主防災組織がつくられてきている、さまざまなこの減災に向けての対策がなされてきているわけですが、ただ、結果的に市内では889名の方が亡くなっておりますし、いまだ158名の方々が行方不明のままであるわけです。結果的には1000人を超える方々が犠牲になられたということは、今まで取り組んできたこの減災に向けての取り組み、これを大きく反省をしなければならないんだろうなと、そのように思うわけです。 ですから、前段、今すぐ打てるその手だてがあるのではないかということについて、すぐにでも、検証委員会の、あるいは新たな防災計画の策定を待つまでもなく、すぐに手を打っていただきたいと思いますが、お答えをいただきます。 ○議長(海老原正人君) 防災課長。 ◎防災課長(山田守君) 全くそのとおりだと思います。 まず、避難場所等、今回震災した場所がありましたので、これらをいち早く見直しておりますし、また、防災行政無線での放送内容、これメーターをしゃべったことでかなりの方が被災を受けたということもありまして、その辺のマニュアルも変えております。また、現在、避難場所等を変えたわけですが、そこに看板設置、現在しております。 このようにできるものから現在取り組んでいますが、まだまだ足りない部分もありますので、今後できること、すぐにやらなければならないことをもう一回整理しまして早急に対応してまいります。 ○議長(海老原正人君) 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) 後で市長にもお尋ねをしたいと思うんですが、9月に岩手県主催の防災訓練が当市において開催をされるというように伺っておりますが、どのような災害を想定した上での防災訓練になるのか。 また、私は、防災訓練というのは住民の命を守ることが最優先される防災訓練でなければならないと、そのように普段から思っておりますが、決して型どおりの見せる訓練ではいけないと。いざというときに住民の命が守られる、そういう訓練でなければならないと思っておりますが、その9月に予定されている防災訓練、どのように臨まれようとしているのかお尋ねをいたしたいと思います。 時間がなくなってまいりました。 今回の大震災で最も大きな被害を受けたのは、やはり漁村集落でありました。その漁村集落が、今、生き残れるのか、存在をかけて今その地域計画を策定中、具体的な地域計画が今進められているわけでありますけれども、漁村集落が残っていくには、やはり漁業振興がなければ、浜で生活ができるというシステムをつくっていかなければその集落に残ることはできないと思うんですが、市は水産振興ビジョンを数年前に策定をされました。あの水産ビジョンは、今回の震災を受けた中で改めて復興水産ビジョンとして新たに策定をしなければならないのではないかと思いますが、その点について簡単にお答えをいただきたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 防災課長。 ◎防災課長(山田守君) 防災訓練についてお答えします。 本来であれば、今年度、昨年に県の防災訓練実施の予定でしたが、こういう状況でできなかったということで、県のほうから来年度はどうするという問い合わせがあったんですが、今、防潮堤がこういう状況、まちがこういう状況でも、ことしはぜひこういう状況の中で当市でやってくれということで要望しました。 内容とすれば、県と今情報交換しているんですが、今議員おっしゃったように、見せるような訓練はしたくない、実践に合った訓練をしたいということで、例えば、状況の設定をしないでやるとか、あとは今回いろんな課題があったわけですが、例えば、本部機能の体制も混乱したという、そういう本部体制の訓練とか、あとは今回広域でいろいろ応援受けたわけですが、広域の応援態勢の訓練、あとは避難所の運営訓練、あとは孤立集落の救出の訓練、これらを想定のない中でやってみようかと今意見交換していますので、従来とは違った実践的な訓練を行っていきたいと考えております。 ○議長(海老原正人君) 産業振興部長。 ◎産業振興部長(小林俊輔君) 水産振興ビジョンの見直しですけれども、市では平成21年12月に策定したところなんですが、これまでの議会でも答弁してきましたとおり、状況の変化もあれば見直すというふうなことにしております。 見直すに当たってのまず大きなポイントは2つありまして、漁業就業者の就業動向の把握、これがまず第1点。あともう1点は、各漁協が策定する地域の営漁計画を改めて確認していく必要があるということがあると思います。ただ、各漁協さんとも被災しておりまして、さまざまな復旧事業進めている中で、漁協の業務量も膨大なものになっているという現状を踏まえますと、その復旧事業の進捗状況を見計らいながら、その各漁協の皆さんと意見交換、情報交換をしながら、その水産振興ビジョンの見直しの検討を進めてまいりたいと存じます。 ○議長(海老原正人君) 残り1分少々です。 山崎長栄さん。 ◆14番(山崎長栄君) 市内で被災された小売店業者、小売店の経営者の皆さんが、イオンの進出をかなり気にかけておられます。このイオンの経営がどのような経営をされるのか、時間もありませんが、この点について、どう小売店業者の理解を得られていくのか、お答えを賜って、私の質問を終わりたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 復興推進本部事務局次長。 ◎復興推進本部事務局次長(嶋田賢和君) お答えいたします。 イオンの出店については、先般市長より、釜石のまちづくりの文脈においてイオンと今後前向きな協議を進めていくという旨の記者会見をさせていただいたところでございます。その出店に際しては、議員御指摘のとおり、当然に東部地区を初めとする、今、再開に向けて懸命な努力をされている事業者のプラスになることが大前提でございますので、イオンが栄えてまち滅ぶということには決してならないように、イオンを求めて市の外から来るような交流人口の増をどうやってまちに還元していくかというような文脈の中で、まちづくりの全体の中で検討していきたいと考えております。 ○議長(海老原正人君) 14番山崎長栄さんの一般質問を終わります。--------------------------------------- ○議長(海老原正人君) 次に、5番坂本良子さん、質問席に登壇を願います。  〔5番坂本良子君登壇〕 ◆5番(坂本良子君) 日本共産党議員団の坂本良子です。 一般質問の最終日ということで、私の質問の内容に一部、同僚議員と重複する部分がありますので、その点を御容赦いただきたいと思います。 それでは、通告に従いまして質問を行います。 まず最初に、大震災後の生活再建について質問いたします。 東日本大震災から1年がたちました。当市も復興まちづくり計画を策定し、甚大な被災被害を乗り越え、生活再建・復興を目指す本格的な取り組みが進められています。 復興まちづくりは、何よりも被災者の生活再建と被災地の再興を第一義的な目的として行う必要がありますが、被災者の生活再建を図る上で死活的に重要な土台となるのが住まいの確保でございます。 住まいは、人権に基づく住宅復旧、住宅再建を被災地の復興の最大の柱として、社会的に弱い立場に置かれている障害者、高齢者、女性、ひとり親の人々などに対して、特に配慮を行う必要があります。また、人間的な生活を実現する居住のさまざまな条件の確保と互いに助け合って暮らすコミュニティーの存在が欠かせません。 基本計画では、仮設住宅への入居者等が早期に安定した生活を営めるように安全で良質な公営住宅の供給を推進するとし、避難機能、コミュニティー機能、高齢者へのサービス機能や商業機能と一体となった複合型公営住宅の整備に取り組むとしています。 復興公営住宅の建設は、従前の居住地に近い安全な場所に集落ごとに計画し、地域コミュニティーが保持されることが必要ですが、経済性や効率性を重視した大規模集合住宅の建設ではなく、被災者の従前の生活実態や地方性に配慮した小規模で多様な建設・供給とし、多様な世代が居住できる配慮が必要であると同時に、自力で生活再建が困難な高齢者や障害者にふさわしいグループホーム型公営住宅やケアつき公営住宅等も考えていく必要があると思いますが、当局が考えている災害公営住宅はどのようなものかお聞きいたします。 一定の資力があり、自力再建の可能性がある被災者に対しては、最大限の支援を行う必要がありますが、被災者にとって持ち家住宅の再建は、生活の継続、コミュニティーを保持することが可能な望ましい居住となります。 被災者が自力再建をするためには、行政の支援金が必要となります。現状では、被災者生活支援法による支援金として、全壊世帯に対して最高300万円の支援金があり、県は自宅新築資金として100万円、県産材活用やバリアフリー化による住宅の新築補助金として130万円を補助するとしています。合計で530万円の補助となり、県復興局生活再建課は、持ち家を希望する被災者も多く、既存の支援制度とあわせて再建を後押しできるのではないかと期待していますが、当局は、これらの支援で持ち家の再建がどこまで進むと考えているのかお聞きします。 被災者が住宅を再建するためには、被災した自分の宅地や農地がどの程度の評価額かわからなければ、被災者は生活再建の見通しが立たないことになります。こういう中で、東日本大震災で被災した沿岸12市町村で県による土地の一括鑑定評価が行われています。被災地で高台移転による宅地買い取りや再開発を進めるために必要な土地の価格を統一基準で算定し、自治体などが今後の復興に向けて浸水した宅地や農地を買い取る際の基準にしてもらうというものです。 国税庁は、昨年11月、被災地を対象に路線価調整率を公表していますが、本県沿岸部は路線価が1割から7割減少しているとされ、住宅を再建しようとする被災者にとって、この路線価では住宅再建は困難になります。 県による土地の一括鑑定評価は、各市町村を通じて今回の評価結果を通知することになりますが、この一括鑑定評価を市はどのように見ているのかお聞きします。 次に、高齢者福祉について質問をいたします。 昨年の6月、国会で介護保険法改定が成立し、2012年度から介護保険の制度改変が始動します。同時に、介護報酬と診療報酬が同時改定される年度であり、介護サービスの提供体制のあり方が医療とともに連動しながら変わる予定となっています。 このように制度が大きく変わる中で、当市も2012年から14年度の3カ年にわたる第5期介護保険事業計画の策定作業が進められ、2月20日の議員全員協議会の中で事業計画の説明がされています。 介護保険がスタートして11年になりますが、この間、介護サービスの総量はふえたものの、国による社会保障費削減路線のもと、負担増やサービス切り捨て、介護報酬削減などが繰り返されてきた結果、制度の矛盾がさまざまな形で噴出しています。 介護費用の1割という高過ぎる利用料負担のために支給限度額の6割弱しか使われないなど、低所得者が必要なサービスを受けられない事態が深刻化していることがあります。要介護認定で軽度と判定された人が訪問介護やデイサービスを制限され、福祉用具のレンタルも受けられなくなるなど、介護取り上げも重大問題となっています。 当市もそうでありますが、全国的にも特別養護老人ホームに入れない待機者が42万人を超え、政府の病床削減方針によって療養病床を追い出された人が行き場を失うなど、介護難民がふえ続けています。また、たび重なる介護報酬引き下げのために介護現場の労働条件は劣悪で、深刻な人手不足や事業所の経営難など、サービス提供体制の崩壊も進んでいます。 これらの苛酷な給付抑制にもかかわらず、介護保険料は上がり続け、65歳以上の人が年金から天引きされる第1号保険料の平均額は制度発足当初の2911円から現在は月4160円となり、高齢者の生活悪化の重大要因となっています。 当市は、第5期介護保険計画で現在月額基準額3995円を4680円にしようとしていますが、保険料の増額を抑制するためとして、今回の介護保険法改定で市町村の介護保険特別会計が赤字になった場合に交付・貸付をするため、都道府県のもとに設置されている財政安定化基金が取り崩し可能となったことを受け、今回7324万1000円を繰り入れています。また、市が蓄えている介護給付費準備基金から7500万円を繰り入れて月額基準額4680円に抑えたとし、1人当たり月額685円の増額となり、年間では8220円の増額となります。この増額によって、高齢者の方々は暮らしを圧迫されるとともに、ますます介護保険サービスの利用が困難になります。 私は、12月議会でも介護保険料の引き下げを要望していますが、国の負担割合がかつての50%台から20%台に引き下げられているもとで介護給付費の増加分を高齢者の保険料負担に転嫁するのは、もはや限界と言えます。こういう中で全国の各市町村の中には、国による一般財源の繰り入れは適当でないという助言をはねのけ、保険料・利用料の減免や保険料の独自軽減を実現しています。 現在、介護労働者の処遇改善に向けた基金が国庫負担で導入された結果、介護保険の公費負担は実質57%から58%になっており、このうち国庫負担は2割となっています。介護保険制度を考えたとき、2割の国庫負担では制度がもたなくなる危険性があり、国庫負担の割合を引き上げることは重要課題であり、国に要望すべきと思いますが、お聞きいたします。 また、介護保険料の値上げを抑えるためには、一般会計からの持ち出しが必要と思いますが、持ち出すとするならばどれくらいの金額になるのかお聞きいたします。 4月改定で政府は、介護保険でサービス提供者となる介護事業所への介護報酬についての実質マイナスとすることを決めています。市の介護保険事業計画の資料にもありますように、報酬自体は1.2%のプラスとしていますが、一方で、介護労働者の賃金を引き上げた事業所に交付している処遇改善交付金を廃止します。このため差し引き1100億円程度のマイナスとなり、労働者の処遇改善に逆行します。 介護報酬は、2003年と2006年の改定で計4.7%も引き下げられ、2009年改定の3%アップを加味しても、2000年の介護保険スタート時の水準を下回っています。今回の2012年改定で、政府は1.2%の報酬引き上げ分のうち、1.0%は在宅サービスに充て、特養ホームなどの施設には0.2%しか回さない方針を示しています。処遇改善交付金の廃止と合わせれば、施設は大幅な減収になるおそれがありますが、当局は今回の介護報酬に対する施設への影響をどのように見ているのかお聞きします。 今度の介護保険法改定では、地域包括ケアの重要な制度改定が決められていますが、12月議会で私は、要支援1、2の人に給付される介護保険サービスを介護予防・日常生活支援総合事業への置きかえ、訪問看護と訪問介護が連携しながら在宅の高齢者に短時間の巡回と随時の対応を行う定期巡回・随時対応型訪問看護介護という新サービスの導入について質問しましたところ、これらの事業に対して、切れ目のない総合的なサービスの提供が可能となると評価した答弁をしています。 しかし、これらの新たな介護保険サービス等の制度導入については、地域の的確な需要動向及びサービス事業者の参入意向の把握が必要なことから、今年度策定する介護保険事業計画の事業量には掲載せず、来年度に実施する調査結果を精査し、制度の諸課題に配慮しながら適切な時期に実施したいとしています。 地域包括ケアの具体化は、要支援1、2の人に給付される介護保険サービスを介護予防・日常生活総合事業に置きかえていく制度改定ですが、総合事業は介護保険本体とは別枠の地域支援事業の一環とされ、その費用には介護給付費の3%以内という上限がつけられております。介護保険の指定サービスではないため、人員、設備、運営などに厳格な基準もなく、安上がりの不十分なサービスになると言われております。そして、各人のサービスを総合事業に置きかえるかどうかの決定は市町村の裁量で、本人に決定権はありません。 現在、要支援1、2の人は、予防給付としてヘルパーによる家事援助や介護事業者のデイサービスなどを利用できますが、総合事業が導入されますと、市町村の判断で業者の宅配弁当、民生委員の見守り、公民館でのデイケアなど、低コストサービスに切りかえられることになります。このことによって、介護サービス事業者にも、運営上、一定の影響が出てくると考えられますが、問題点が多いだけに、新たな介護保険サービス等の制度導入に当たっては、介護保険サービス事業者や利用する高齢者の声を聞く必要があると思いますが、お聞きいたします。 以上で、この時点からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(海老原正人君) 市長。  〔市長野田武則君登壇〕 ◎市長(野田武則君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。 介護保険制度における国庫負担割合の引き上げを国に要望すべきとの御質問でございますが、介護保険制度は、高齢者の自立支援を基本理念に、平成12年に発足し12年目を迎える中で、全国的にサービス量、利用者数も飛躍的に伸びており、広く国民の間に定着したものと認識をしております。 ただし、その一方では、高齢化の進展に伴いまして給付費は倍増する勢いで伸びておりますし、これに伴い保険料も1期ごとに大幅に引き上げざるを得ない状況が続いております。 その状況を踏まえ、まず、介護保険制度の仕組みについて御説明を申し上げますと、介護保険サービスの利用に要する負担割合につきましては、サービス利用者がその1割を負担し、残り9割のうち、50%を公費で賄い、残り50%を保険料で負担するものとなっております。さらに、公費負担分の内訳は、訪問介護サービスなど居宅給付費の場合、国が25%、県及び市町村がそれぞれ12.5%ずつ負担しております。一方、保険料負担分の内訳は、65歳以上となる第1号被保険者の保険料が21%、40歳以上65歳未満となる第2号被保険者の保険料が29%ずつ負担しているところでございます。 近年、全国的に高齢者人口、高齢化率がふえ続けている中、特にも当市でも平成20年からは、75歳以上の後期高齢者が75歳未満の前期高齢者を上回る状況が続いており、今後その差はさらに拡大していくとの見通しを持っております。また、今後、団塊世代が老年人口に加わることにより、一定の期間、介護を要する高齢者や認知症高齢者が増加することが見込まれており、グループホームの整備など介護サービスのさらなる充実が求められております。 保険料は、これらの介護サービスの給付費に見合った水準に設定されることから、今後、要介護者の増加に比例し、給付費も増大することが見込まれております。 介護を要する状態となっても、できる限り自分の住まいで、能力に応じ、自立した日常生活を営むことを目指す介護保険制度を安定的に継続させるためには、適正な費用負担の仕組みづくりが必要であり、このことは、介護保険制度の根幹にかかわる極めて重要な問題ととらえているところでございます。 これに加え、近年、医療制度改革や税制改正、公的年金の物価スライドの導入等、介護保険料以外にも高齢者に負担増が求められているとの認識をしているところであります。 現在、国におきましては、社会保障と税の一体改革についての議論がなされておりますが、まずはその動向に注視したいと考えております。その上で、介護保険の負担のあり方については、今後、国に対する負担割合の見直し、あるいは以前から国の社会保障審議会の中で議論が繰り返されている被保険者・受給者範囲の拡大などが考えられますが、制度自体の抜本的な改善要望を含め、全国市長会での議論を踏まえながら対応していきたいと存じます。 以上をもちまして、私からの答弁は終わりますが、引き続き、関係部長が答弁をいたします。 ○議長(海老原正人君) 保健福祉部長。  〔保健福祉部長野田喜一君登壇〕 ◎保健福祉部長(野田喜一君) 私からは、高齢者福祉についての御質問にお答えをいたします。 初めに、介護保険料の値上げ抑制に必要な一般会計からの持ち出し額についての御質問ですが、第5期介護保険事業の計画期間となる平成24年度から26年度までの介護給付見込み額は、最終調整の結果、総額120億9948万円に達するものと推計をしております。 このうち、第1号被保険者が負担する推計総額は、介護給付総額の21%に当たる25億4089万1000円になるものと見込んでおりますが、各市町村の後期高齢者数、所得水準等の状況を勘案した国の調整交付金により、実質負担割合はこれを数%下回るものと見込んでおります。 さらにこの負担額を抑制するためには、介護給付費準備基金及び財政安定化基金を繰り入れして調整することとなります。 介護給付費準備基金は、保険料収支により生じた剰余金を翌年度以降の介護給付費支払いの不足に備える財源とするため、保険者である各市町村が積み立てしている基金です。当市の基金残高は、平成23年度末時点で1億7500万円程度と推計をしております。 また、財政安定化基金は、介護保険制度の財政を安定させるため、各都道府県に設置された基金であり、国、県、市町村が3分の1ずつ負担して積み立てしている基金であります。特に今回、保険料の上昇を緩和するため、この基金の一部を取り崩すことができる旨の特例規定が設けられたところであります。 これらの基金のうち、介護給付費準備基金については、今後の継続した事業運営を考慮して1億円を留保して残り7500万円を、また、財政安定化基金については、7300万円余りを繰り入れした結果、最終調整後の月額標準保険料は4680円と試算しております。 これと同等の積算により、現行保険料3995円を維持するための一般会計からの持ち出し額は3億円程度になるものと推計をいたします。 ただし、介護保険制度は、国民共通の課題を社会全体で解決する制度であり、相互の助け合いの理念に基づき、高齢者を含め、40歳以上の保険者に対して、その負担割合が定められております。 当市としましても、国の定める保険料減免に係る原則にのっとり、定められた負担割合を超えて他に転嫁することは助け合いの精神を否定することにつながることから、一般財源を繰り入れすることによる保険料減免についてはできないものと認識をいたしております。 次に、介護報酬改定に対する施設への影響についての御質問にお答えをいたします。 介護報酬の改定は、国が3年ごとに実施しており、本年4月から施行されます。 今般の改定に係る国の方針は、地域包括ケアシステムの構築、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など新たな介護サービス等への対応、医療と介護の機能分化・連携の強化などを念頭に置いたものとされております。 これに加え、介護職員の処遇改善の確保、物価の下落傾向、介護事業者の経営状況等を踏まえ、在宅サービスに係る報酬については1.0%、施設サービスについては0.2%、全体で1.2%のプラス改定率になるものとしております。 また、国では、介護職員の処遇を改善するため、介護職員1人当たり月額1万5000円を算定上の指標とした介護職員処遇改善交付金について、平成23年度末までの時限措置として各申請事業者に対して支給しておりました。この支給により、職員の平均給与が増加するなど、ほぼ所期の目的を達成したこと、また、介護という社会性を有する業務であっても、特定産業、職種の賃金について全額国費で手当てすることは合理性に欠けることなどを考慮し、今年度末でその支給が打ち切られます。 このことから、従来の交付金相当分について介護報酬へ円滑に移行するために、例外的かつ経過的な取り扱いとして、平成27年3月31日までの間、介護職員処遇改善加算が創設されることが示されております。 また、厚生労働省が示す平成23年介護事業経営実態調査結果では、平成23年3月中の収入に対する利益の割合を示した収支差率をみると、全国平均では、介護老人福祉施設9.3%、介護老人保健施設は9.9%と、いずれもプラスとなっている状況にあります。 このような状況を踏まえ、介護報酬の改定に伴う施設に対する影響については、介護保険制度開始時の水準から0.5%下回り、介護職員の処遇改善等には十分とはいかないまでも、直ちに施設の経営、維持に大きな支障はないものと認識するところであります。 加えて、介護保険制度は、利用者本位の制度として、みずからの選択に基づくサービス利用を可能とするもので、そのサービスの提供に当たっては、多様な民間事業者の参入促進が図られ、効率的で良質なサービスが追求されています。この制度趣旨により、民間事業者の柔軟な発想や創意工夫が生かされ、発展が期待される産業領域であると考えており、競争原理のもとでサービスの質の向上が求められております。 一方、他の産業と同様、人件費の増大という大きな課題も抱えていることから、各施設においては、職員の処遇改善を含めて経営戦略を再構築し、長期的視点に立ちながら経営の安定化を図っていくことが重要であるものと認識をしております。 次に、新たな介護保険制度の導入に当たり、事業者及び利用者の声を聞く必要があるのではとの御質問にお答えいたします。 今般の介護保険法の改正では、高齢化の進展により、今後、高齢者のひとり暮らし、高齢者のみの世帯の増加が見込まれていることなどから、地域包括ケアシステムの確立を掲げているところであります。このシステムでは、生活上の安全、安心、健康を確保するために、医療や介護、予防のみならず福祉サービスを含めたさまざまな生活支援サービスが適切に提供できる体制づくりを目指しております。 このことを踏まえ、新たな地域密着型サービスとして、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、介護予防・日常生活支援総合事業が新設されるものであります。 まず、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容につきましては、訪問介護と訪問看護が密接に連携しながら、重度者を初めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるもので、利用者がサービス事業所に電話連絡することなどにより、日中・夜間を通じて看護師または介護福祉士等が療養上の世話や入浴、排せつなど日常生活上の支援を行うものであります。 一方、介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、要支援者及び介護が必要になるおそれが高いと認められる2次予防事業対象者に対し、市町村の判断によりまして介護予防や配食・見守り等の生活支援サービス等を総合的に提供するもので、事業の導入に当たりましては、公募を通じた事業者の選考が可能とされているところであります。 これらの新たなサービスについては、地域の需要動向及びサービス事業者の参入意向の把握が必要なことから、今年度、震災の影響を踏まえて暫定的に策定する介護保険事業計画の事業量には掲載をしておりません。 これらのサービスの実施につきましては、来年度、介護保険事業計画の見直しを行う中で、介護サービスの需要動向、介護事業者の参入意向、実施に係る意見等を再精査の上、必要に応じた事業量を定めてまいりたいと考えております。 また、保険給付外となる介護予防・日常生活支援総合事業については、高齢者等の利用者に対して、広報紙等を通じてサービス内容を周知しながら、事業の導入によりサービスの質の低下と利用者の意に反したサービスの提供とならないよう配慮をしてまいります。 ○議長(海老原正人君) 建設部長。  〔建設部長洞口政伸君登壇〕 ◎建設部長(洞口政伸君) 私からは、大震災後の生活再建についての御質問にお答えします。 初めに、自力で生活再建が困難な高齢者や障害者にふさわしい災害公営住宅についての御質問ですが、災害公営住宅への入居を希望する被災者の中で、特にも高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者に対する何らかの施策をしていくことも必要であると考えております。 これまでも、新潟県中越沖地震において、災害公営住宅に高齢者支援施設を併設し、災害公営住宅に入居している高齢者を含む入居者と地域の交流を促進している事例などもあります。 国の施策として、災害公営住宅と高齢者生活支援施設、障害者福祉施設及び子育て支援施設の合築・併設を促進する補助制度も創設されていることから、被災した高齢者等の安全等の確保とコミュニティーに配慮した災害公営住宅の建設について、関係機関との連携を図り、今後、ハードとソフト両面での検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、既存の支援金等による持ち家の再建見通しについての御質問ですが、市が昨年末行ったアンケート結果によると約1200世帯が自力再建を目指していると推計されております。 自力再建を希望する方々に対しては、現在ある支援制度に加えて、昨年11月に設立された上閉伊地域林業・木材・住宅産業振興協議会において検討中の個人向け復興住宅のモデルプラン及びモデルハウスが今後提供されることになっており、自力再建を検討する材料がそろうことで住宅の再建が進んでいくものと考えております。 次に、県による土地の一括鑑定評価に対する市の考え方についての御質問にお答えします。 県による土地の一括鑑定評価は、被災により環境が激変した地域にある土地の価格の算定は震災による影響の判断・認定が困難であることから、統一的な判断基準による公平性と複数の鑑定士の評価による適正な土地価格を算定し、復興等事業の推進に資することを目的としております。 当市でも十数カ所の鑑定をお願いしているところであり、この成果については、一つに現在の概算事業費を算定する資料として、また、今後用地買収を行っていく際の土地評価の考え方の基本として活用したいと考えております。 実際に用地買収を行う際に、その時点での土地の価格を算定することとなっており、現時点で用地買収に着手する土地と今回の評価対象になった土地が合致している場合を除き、今後行う予定としております用地買収の土地評価の数字として、このほど県が行った一括鑑定評価の結果をそのまま活用することはあり得ません。 なお、国税庁が公表した路線価調整率は、贈与税や相続税の算定根拠となる路線価を調整することで税負担の軽減を図ったものであり、阪神・淡路大震災の際などにも同様の措置がとられております。したがいまして、実際の土地売買のための土地の価格と路線価調整率は考え方が異なり、路線価調整率がそのまま土地の鑑定評価に反映されることはなく、用地の売買に際しましてはその時点での土地の適正価格を改めて鑑定評価した上で積算させていただくこととしております。 以上をもちまして、答弁を終わります。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) それでは、大震災後の生活再建についてから再質問を行います。 当市の復興まちづくりは、実施計画の中で取り組まれることになり、新年度予算から本格的な予算となります。 復興公営住宅の建設は、被災者にとっても一刻も早い建設が望まれておりますが、山の多い当市にとって、平坦地が面積の1割とも言われる中で土地の確保は非常に難しいものと思います。 大震災後、新日鐵は仮設住宅の建設用地の開放とか瓦れき置き場などさまざまな形で支援活動に協力をされてきた経過がありますが、今後、復興公営住宅建設の土地の確保が難しい状況の中で何としても新日鐵の協力が必要と考えますが、新日鐵への働きかけを考えているのかどうかお聞きいたします。 ○議長(海老原正人君) 復興推進本部都市整備推進室長。 ◎復興推進本部都市整備推進室長(小友光晴君) お答えいたします。 御質問でもございましたけれども、各地区の移住地区の大筋の合意を得まして、これから地権者の方々と、あとは個人との直接の交渉に入っていくという段取りになるわけですけれども、土地確保の見通しということですけれども、事業手法によって非常に難しいところがございまして、製鐵所の用地を含めて当たっていったらどうかというお話でしたけれども、仮設で大変な御厚意をいただいたというのは全くそのとおりでございまして、今後も詳細な計画を詰めていく中で必要があれば交渉してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) ぜひ、狭い状況の中での大変な御苦労があると思います。そういう点ではどうしてもやっぱり新日鐵の協力が必要ではないかと思いますので、努力していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、持ち家再建見通しについてお聞きいたします。 市が昨年行ったアンケート調査の結果によりますと、1200世帯が自力再建を目指しているとのことでございますが、当然ながら浸水したもとの場所に建てられないということがあります。それで1200世帯が自力再建を目指すとなると新たな土地の確保が必要となりますが、高台を含めた土地確保の見通しについて、先ほども大変厳しいということもありましたけれども、その点についてお聞きいたします。 ○議長(海老原正人君) 復興推進本部都市整備推進室長。 ◎復興推進本部都市整備推進室長(小友光晴君) 先ほども公営住宅の部分でもお話ししましたけれども、これから個別に交渉に入っていくわけですけれども、事業手法によって土地確保の手法というのは変わってきます。大きくお話しすると、土地区画整理でありますとか、あとは防災集団移転とかございますけれども、この手法によってその土地の確保の仕方というのは変わってきますけれども、非常に移転して再開していく方という意向を尊重しなければならないというのは全くそのとおりでございますので、万全を尽くして確保できるように努めてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) 1人でも多くの方が自力で再建できるように御協力をよろしくお願いいたします。 次に、高齢者福祉について質問をいたします。 3月議会に提案されました介護保険条例の一部改正では、介護保険料の引き上げと見守り介護サービスの廃止があります。このサービスは、平成15年10月から在宅の要介護認定者を対象にして、見守りと身体介護等を一体的に行ってきたもので、このサービスに介護給付費準備基金を財源として充ててきました。 しかし、今回の改正で見守り介護サービスを廃止するというものですが、その理由として、短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、有料老人ホームなどの整備が進展したことと、それから利用者の減少、それと介護保険費用が増加し、基金からの繰り入れにより保険料の引き上げ幅を抑制するためとしております。 見守り介護サービスの廃止は、これは今まで在宅サービスを受けていた介護者の方々にとっては大きな影響が出てくることになると思いますが、この影響をどのように見ているのかお尋ねいたします。 ○議長(海老原正人君) 高齢介護福祉課長。 ◎高齢介護福祉課長(古川至言君) お答えいたします。 見守り介護サービスということですけれども、このサービスは平成15年だったんですが、当時なかなか円滑に入所できないショートステイのかわりになり得るサービスということで、当市がこれ、独自にサービスを創設をしたといった経緯があります。 先ほど議員さんもおっしゃっておりましたけれども、内容とすれば、在宅の要介護者の方を身体介護ですとか生活援助、それから見守りという部分で一体的に行うといったような内容でございます。これは介護給付費準備基金を財源に今まで実施を進めてきたというものでございます。 ただ、近年、その介護施設の整備が進められておりますし、それから有料老人ホームですとか高齢者向けの専用住宅、こういったものもいろいろ整備をされてきているということがあります。 それから、基金につきましては、もともとこれは介護保険の財政運営の安定化を図るという本来の目的がありますし、それから24年度に改定されるその保険料、これの引き上げ幅をできるだけ抑制をしたいということで、その繰り入れ財源の確保を図る必要があるということで、今般廃止をしようというものでございます。 それで、このサービスの利用状況なんですけれども、創設をされた平成15年度当時の利用件数が41件、それからそのピークとなります平成16年度の利用件数が98件といったような数字だったんですが、これがその平成20年度になりますと5件、21年度が1件、それから22年度と23年度、ここまでのところゼロというような状況になっております。したがいまして、廃止に伴う影響というものは少ないのではないかなというふうに考えております。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) この利用する方が今はいないということで、その影響はないということでございました。 やっぱり訪問というのは本当に大事なことだと思うんですね。今、孤立化ということも言われておりますし、そういう点でもやはり、ゼロということではありますけれども、ぜひ注意していただきながら、続けてというよりも、注意を図りながら介護の行政を行っていただきたいと思います。 今度の介護保険料の値上げに当たって、介護給付費増を3年間でおよそ121.5億円として、それで年間にしますと40.5億円ほどになります。保険給付費、これが平成12年度から平成13年度で比較しますと年間で5.4億円増となりますが、平成22年度は34億円ほどの給付費となっておりますから、これは年間で6.5億円ほどの給付費増となって、これ10年前と比較しますと1.1億円の増となっております。 このように介護給付費は、介護サービスの増加とか、これから団塊の世代が高齢者に加わってくる中で年々増加が大きくなってくることが予想されますが、第6期以降の保険給付費の増額、これをどのように見ているのかお尋ねいたします。 ○議長(海老原正人君) 保健福祉部長。 ◎保健福祉部長(野田喜一君) 介護保険計画の6期以降のその見通しというような御質問ですけれども、6期の計画につきましては、これから3年後の平成26年度、ここで策定をするということになりますんですが、あくまでもその時点での改めて算定するその要介護者等の将来推計、それから介護需要の動向、それから国の制度改正、こういった方針を踏まえて策定をしていくという形になるわけでございます。 したがいまして、現時点では明言できるというものではないんですが、ただ、団塊の世代が高齢者の仲間入りをすると、それからこの震災の影響によりまして家族介護力の低下、あるいは認知症高齢者の実態と、こういったものを考えれば、6期ではさらに介護事業枠が高まってくると、そして保険給付費についても増大をしていくと、このように現時点で見ております。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) そのとおりだと思います。 これまで介護保険料、値上げ続けてきて一度も下がったことないし、そういう状況があります。まして、私もそうなんですが、団塊の世代、これが爆発的に介護の負担増、これを大きくしていくというようなことも言われておりますし、そういう状況の中でのやはり国のあり方、それから行政のあり方もまた問われてくるのではないかと思います。 介護保険制度、これは国の負担割合がかつての50%台から20%台に引き下げられているもとで介護給付費の増加分を高齢者の保険料負担に転嫁する、これはもはや限界となっております。 国庫負担の割合を引き上げるのは重要課題でありますし、これは国に強く要望すべきという質問に対して、介護保険負担のあり方については、今後国に対する負担割合の見直し、そして以前から国の社会保障審議会の中で議論が繰り返されている被保険者、それから受給者範囲の拡大などが考えられるとしておりますが、この被保険者、受給者範囲の拡大とはどういう議論なのかお聞きいたします。 ○議長(海老原正人君) 高齢介護福祉課長。 ◎高齢介護福祉課長(古川至言君) 被保険者、受給者の範囲の拡大という御質問ですが、この関係は、実は介護保険の制度が発足した当時から大きな論点の一つというふうにされているものであります。 元来その介護保険は、高齢化で身体的に不自由な方をサポートするということで創設をされたものであるわけですが、現状において、65歳以上のその高齢者だけが受給の対象者ということではなくて、40歳から64歳までの方、ここの年代であっても老化に起因をするということでは介護サービスが受けられるというふうなものでございます。 これを国の諮問機関であります社会保障審議会では、例えば30歳からとか25歳からとか、これをもう少し広げまして、高齢者介護とそれから障害者介護、これを統合しようということで以前から議論が進められてきた経過があります。 その議論ということでは、まずその積極的な意見とすれば、そもそも介護ニーズは高齢者に特有のものではないので年齢やその原因によって制度を区分するのはおかしい。それから、介護を必要とするすべての人が公平にその介護サービスを利用できるような普遍的な制度にすべきであるといったような考え方でございます。 これに対しまして、消極的な意見ということでは、障害者施策は公の責任として全額公費負担が基本である。それから、若年者まで対象年齢を引き下げることは保険システムになじまない。こういったような考え方であります。 そして、これは結局いまだに決着がつかずに、厚生労働大臣に対する報告書においても両論が併記された経緯があるというものでございます。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) 以前からこの点については議論がなされていたということでございますが、負担者の拡大、範囲を広げるというふうな点での議論のようでございますが、次に、今回の介護保険料の値上げ、これは年金暮らしの高齢者の暮らしを脅かすことになりますし、地域経済にも大きな影響を及ぼしてくるのではないかと心配されます。 今回の介護保険料の値上げを抑えるためには、一般会計からの持ち出しが必要となりますが、当局は答弁の中で、介護保険制度は国民共通の課題を社会全体で解決する制度であり、相互の助け合いの理念に基づき高齢者を含め、40歳以上の保険者に対してその負担割合を定めているとし、当市としても国の定める保険料減免に係る原則にのっとり定められた負担割合を超えて他に転嫁することは助け合いの精神を否定することにつながることから、一般財源の繰り入れをすることによる保険料減免についてはできないとしております。 しかし、介護保険制度を国保制度と同じく単なる相互扶助ではなく社会保障制度であるということ、これの認識が必要ではないかと思います。全国的には、この観点から各地の市町村が一般会計からの繰り出しにより保険料利用料の減免や保険料の独自軽減を実現してきたことがあります。 確かに国は、一般財源の繰り入れは適当ではないという3基準というものを強調しておりますけれども、介護保険は自治事務でありますことで国の指導は助言にすぎないと、そういうことで当市も他の市町村と同じく一般会計による繰り入れで値上げを抑えるべきではないかと思いますが、お聞きいたします。 ○議長(海老原正人君) 保健福祉部長。 ◎保健福祉部長(野田喜一君) 保険料軽減のために一般会計から繰り入れして保険料の引き上げを抑制すべきではないかというような御質問ですけれども、先ほども壇上で御答弁をさせていただいたんですが、おっしゃるとおりこの保険料減免には3原則があって、その1つに保険料減免に対する一般財源の繰り入れを行わないことというふうにされているわけでございまして、減免するにしても財源は同じ高齢者の保険料負担を求めているということでございます。これは制度の助け合いの精神というところから来ているわけでして、したがいまして、この制度の根幹にかかわるというようなことからちょっとこれはできないのだろうと、そういうところです。 ただ、一方では、この保険料、毎回、毎期ごとに改定、需要に伴って伸びてきていると。そして、今回の改定では県下の平均は大体4800円ほどというふうになっているわけでございます。我々現場のこの実態感からすれば、高齢者のこの負担の限界にも近づいてきているのではないかというふうに受けとめているわけでございます。 議員のほうからは、一般会計からの繰り入れというようなお話もございましたんですが、やはり市町村ごとの対応にもこれ限度があるのであろうというふうに思います。制度の仕組みあるいは財源の構成等、これを見直す時期にも来ているのかなというふうにとらえております。 この介護保険制度、1期3年ということで計画策定をされるわけなんですが、これまでの制度の流れ、これまでの例からすれば、国は6期計画を策定する際に中長期的な見通しを示すことになるんだろうというふうに受けとめてございます。我々とすれば、皆で支え合うというこの理念というものは当然必要でありますけれども、やはり将来の介護需要を踏まえまして、中長期的な介護の目標ですとか、その絵姿というものを描いて財源を担保していくということが必要になるんじゃないかなというふうに考えております。 したがいまして、しっかりとした議論を踏まえて、そして、あるいは介護の量ですとか質と、これを向上させながら安定的に継続できる制度という部分が求められてきているというふうに考えております。 いずれ我々としても市長会を通じまして必要な事項については働きかけが必要だと、このように考えております。 ○議長(海老原正人君) 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) ぜひ働きかけていただきますように、よろしくお願いいたします。 それでは、次に介護報酬の改定に伴う施設への影響についてお尋ねいたします。 答弁では、他の産業と同様、人件費の増大という大きな課題を抱えているため、職員の処遇改善を含めた経営戦略を再構築し、経営の安定を図っていくことが重要であると考えているようですが、各施設での経営の安定化を図るとはどのようなことかお尋ねいたします。 ○議長(海老原正人君) 保健福祉部長。 ◎保健福祉部長(野田喜一君) お尋ねの件なんですが、これは何も介護サービスというものに限ったことではないんですけれども、民間事業者の柔軟な発想と、あるいは創意工夫というものを、これを凝らしていく中で、10年先あるいは20年先、こういった長期的視点に立って効率的な経営、こういうものを通じて経営の安定化、これを図っていくということが大事なんだろうと、このように考えております。 ○議長(海老原正人君) 残り2分少々。 坂本良子さん。 ◆5番(坂本良子君) 今度の改定は、自治体にも負担を大きく強いるということでございますし、ましてや介護を受ける方、それから保険料を払う我々にとっても大変な負担となるわけです。そういうふうな制度の改定となっておりますし、それでサービスがいいかというと、決してよくない、それも抑制されているという、いわば改悪というような状況が今度の改革であります。 ぜひ、だれでも安心して介護が受けられるように、国に対して負担割合の引き上げを強めていただきますように市長に強く要望して、質問を終わります。 ○議長(海老原正人君) 5番坂本良子さんの一般質問を終わります。 暫時休憩いたします。               午後2時59分休憩---------------------------------------               午後3時30分再開 ○議長(海老原正人君) 休憩を打ち切って会議を再開いたします。休憩前に引き続き、一般質問を続行いたします。4番合田良雄さん、質問席に登壇を願います。(拍手)  〔4番合田良雄君登壇〕 ◆4番(合田良雄君) 海盛会の合田良雄でございます。 まず初めに、去る3月11日、東日本大震災から1年となり、釜石高校体育館で大津波によって犠牲になられました方々の追悼式が行われました。亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りいたしたいと申し上げます。これからまた、長く険しい復興に向けた道のりへ市民一丸となって邁進していくことを誓い合った3月11日でありました。 それでは、通告に従いまして、4点について一般質問をいたします。 まず1点目に、生活の再建についてであります。 去る3月2日に東日本大震災で被災した自治体に対する復興交付金の第1回配分額が決定いたしました。釜石市としては、要望額223億円に対して、第1次配分額が175億7000万円ということで、47億円ほど減額されました。 当市では、これらの復興交付金を使っての被災地区復興手法として、防災集団移転促進事業、漁業集落防災機能強化事業、土地区画整理事業等を検討してきたわけでありますが、そのうち防災集団移転促進事業というのは、高台移転ということで非常にハードルが高く、地区全員がそろって移転し、跡地は建築制限がかけられて使えなくなるのが大原則で、土地の評価額が下がり、買い取り額も下がる事業であります。 それに比べまして、漁業集落防災機能強化事業は、土地のかさ上げや移転で漁業集落の住環境を改善することが目的の制度であり、跡地に建築制限がかからないため、漁業者は漁具の保管場所などに土地を使うことができる利点があるわけであります。 いずれ、この防災集団移転促進事業と漁業集落防災機能強化事業の長所・短所をお尋ねいたしたいと思います。 また、今回の復興交付金が釜石の場合47億円減額されたのは、どのような事業だったのでしょうか、お尋ねいたします。 また、大津波により多くの人が自宅を失った今回の大震災、孤独死が問題になった1995年の阪神大震災の教訓から、同じ地域の住民同士が近くの仮設住宅に入居できる配慮も釜石市としてはあるわけでありますが、若い世代は通勤が不便だということでみなし仮設を選ぶ傾向が強く、仮設住宅は高齢者の方が多いのではないかと思われます。 仮設住宅の方々が周囲とのつながりを保つために行政ではどのように取り組んでおられますでしょうか。そして、仮設住宅の方々の悩み、問題点等、把握されておりますでしょうか。また、自治会の結成率と活動実態はどのようになっておりますか、お尋ねいたします。 2点目に、土木行政についてであります。 年度末を迎えて市発注建設工事も追い込み状態かと思います。震災の災害復旧工事も急がれているわけでありますが、建築工事において不調が続いたり、あるいは市外業者に発注した物件もあるようであります。 どうして市内業者が釜石市発注工事を受注しないのでしょうか。地元業者が頑張ってもらうことこそ釜石経済が回っていくわけでありますが、市内業者が受注しない理由をどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。 被災3県の住宅の全半壊戸数は約31万に達し、仮設住宅に住んでいる被災者も多いわけであります。仮設住宅の入居は原則2年間とされ、その後は過去に例のない大量の住宅供給が必要となってきます。そのときに備えて、岩手県、宮城県、福島県、3県の建築士事務所協会が、製材業者や工務店などを巻き込んで、グループを組んで資材調達から施工まで効率よく作業を進める体制を整えておいて大量生産に備えるわけであります。 また、地域材を使う住宅関連企業グループに1戸当たり上限120万円を助成する事業も計画しているとのことであります。地元企業に補助金が入れば、住宅を建てる被災者の負担軽減にもつながるわけであります。 釜石市としてもこのような地域生産者のグループ化の取り組みは進んでいるのでしょうか。安くて質の高い住宅の供給は被災者の大きな課題であります。 3点目に、教育行政についてであります。 昨年の東日本大震災において、釜石市内の小中学校14校、約3000人の生徒が学校にいて、その子供たちは無事避難いたしました。これも常日ごろの市の徹底した防災教育のたまものであり、釜石市の児童・生徒はその教育を素直に理解し、命を守る体制を身につけました。そして、周りの人たちやお年寄りの命を守ってくれました。子供たちは釜石市の希望の光であり、地域の誇りであります。子供たちの存在がこれからの復興への歩みを進めていく釜石にとって明るい支えになるものと思います。 そこで、被災した小中学校、鵜住居、唐丹でありますが、の現在の状況及び今後の方向性をお尋ねいたします。また、新校舎建設候補地ですが、特に鵜住居小、東中の予定地を今、検討中とのことですが、それぞれの候補地の特徴を聞かせていただければと思います。 それから、津波被害を受けての子供たちのケアを考えて、小中一貫教育を考えられないものかお尋ねいたします。 被災地でも普代村や大槌町は小中一貫教育体制を進めるようでありますし、あの盛岡市でもこの教育の検討に入ったそうであります。盛岡市の例も検証しながら、当市での小中一貫教育の早期実現の可能性をお聞かせいただきたいと思います。 4点目に、観光交流についてであります。 JRグループ6社と岩手県あるいは各地方市町村一体になって、全国から誘客を図ることを目的に実施される大型観光キャンペーン「いわてデスティネーションキャンペーン」が4月1日から6月30日まで岩手県内で開催されることになりました。本県単独での開催は、昭和55年以来、実に33年ぶりであります。特に今回は、東日本大震災からの復興元年という県民にとって特別な意味を持つ年と重なり、観光による経済復興に期待がかかっているわけであります。 そして、被災地の復興を後押しするため、沿岸部と内陸部を結ぶ復興応援ツアーバスも3コース運行され、うち1コースが花巻市発着で釜石市と遠野市を回るコースであります。被災地では被災者が語り部となり震災時の体験談を語ったり、震災パネル展の見学も行う予定だそうであります。また、仮設店舗や観光施設での買い物も勧め、経済活性化に結びつけるということであります。 いずれ東日本大震災により、今もなおさまざまな分野に多大な影響が生じております。中でも観光に関する分野では、社会インフラの損壊及び自粛ムードの広がりもあり、直接の被害があった地域のみならず、それ以外の観光地においても旅行者が著しく減少するなど深刻な状況が続いております。 しかし、社会インフラがある程度整えば、観光は比較的早期に事業を再開することができ、地域経済の復興に、特に雇用の受け皿として貢献できる分野でもあります。この「いわてデスティネーションキャンペーン」における釜石市としての対応はどのようになっているのか、お尋ねいたします。 東日本大震災大津波から1年になりました。感慨深いものがありますが、決してこの災害を風化させないよう後世に語り続けていかなければなりません。 いわて三陸ジオパーク推進協議会が被災遺構としてのジオサイト、見学ポイント候補を12カ所挙げています。民宿に乗り上げた観光船「はまゆり」の復元の話も上がっているそうであります。 一つ提言したいと思います。沿岸部に点としてのジオサイトを残すこともいいのですが、中心施設として震災メモリアルパークをつくり、その中心に防災研究センターを誘致し、あわせて津波資料館を併設するのです。公園の中心には瓦れきを集め、巨大なモニュメントとして、公園の一角、鎮魂の丘には犠牲になった人たちの墓碑銘を設置し、資料館の中には映像、音声資料や報道記録、写真集や書籍、手記、作文、世界からのメッセージやボランティアの記録、流された写真や生活用品などあらゆるものを展示します。被災住民が震災・大津波とどう闘い、歩んできたかも記録として残します。職員には被災者を雇用します。体験に基づく語り部であります。研究機関設置は地方自治体としては大変なので、国あるいは国際的な視野での誘致が必要となってこようかと思います。 このメモリアルパークは、いずれ修学旅行や観光客誘致の目玉になりますし、国内外からの視察・研修の場として沿岸振興に寄与するものであります。この提言について御所見をお伺いいたしたいと思います。 また、1年を経過して、観光交流に対する市のお考えをお尋ねいたします。 以上で、この席からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(海老原正人君) 市長。  〔市長野田武則君登壇〕 ◎市長(野田武則君) 合田議員の御質問にお答えをいたします。 御提言の震災メモリアルパークについてですが、これまで地震や津波等の大きな災害に見舞われた地域では、犠牲者の鎮魂を初め、教訓や記憶などを風化させないなどの目的から、関係する施設の整備が行われてきております。 具体的には、阪神・淡路大震災後の神戸市では、被災したメリケンパークの一部が被災当時のままで保存され、大震災の教訓、港の重要性、国内外の多くの人がかかわった港の復旧、復興の様子が伝えられております。 北海道西南沖地震があった奥尻島では、慰霊碑や津波に関する資料館などが整備されております。また、中越大地震後の長岡市では、中越メモリアル回廊と位置づけ、各地区に震災の記録、記憶を伝える施設、機能が設置されており、現在もその整備が続けられております。 これらの地区では、集中的な整備ではなく、段階的に時間をかけながら整備されていることが共通事項となっております。 今回の東日本大震災を受け、国においては、公園が追悼や復興の象徴を担うということで震災メモリアル公園を整備する方針が打ち出されております。そのテーマは、追悼や鎮魂、災害の記録及び復興の象徴などで、あわせて津波や防災を学ぶ体験学習施設や避難場所として位置づけていく考えもあるとされております。 また、女川町では、被災した交番や市所有の宿泊施設、民間のビルがある港の一角をメモリアル公園として保存する意向が示されております。 当市では、策定した復興まちづくり基本計画の基本理念において、今回の震災をこれからのまちづくりの出発点に位置づけることとしており、犠牲となられた方々の追悼を初め、今回の震災で学んだ教訓や反省などを後世に引き継いでいくことはその大切な要素であると認識しており、これを受けて、主要施策の1つに震災メモリアル伝承事業を盛り込んだものであります。 今後、この事業を進めていくに当たっては、その基本的な考え方を構築するため、何を、どういった手段や方法で、どういった場所で残し伝えていくのか、などの検討を行う必要があります。 このためには、現在進められております震災の検証作業の結果や、収集している映像、体験談、震災の痕跡などさまざまな記録や情報の内容を確認していく必要があります。また、今後の防災などに役立てるため、貴重な情報の保存管理、調査研究などを初め、どういった時間軸の中で、どれだけのことを、いつどのように具体化していくのかといった視点も大切であります。言いかえれば、学ぶ、発信する、保存する、伝承するといった要素が中心となるのではないかと考えております。 当市はこれまで、幾多の災難を乗り越えてきた歴史がありますが、時代の変化とともに、その時々の教訓などが風化してきていたことが今回の震災において浮き彫りとなった面があります。 このことから、時間の経過とともに過去のものとなっていく今回の大震災について、過去とその時々と、そして未来をつなぎ続けるものとして、常に大切にされるもの、忘れ去ることができないもの、思い起こさせてくれるもの、見直しのきっかけとなるもの、将来への足がかりとなるものといったことに結びつくような内容としていくことが望ましいのではないかと考えております。 また同時に、この種の施設が各地で整備されることとなり、その差別化を図っていくことや、施設などの維持費がその後の大きな財政負担となっている例もあり、身の丈に合った内容とすることにも留意しなければならないものと思っております。 以上のようなことから、震災メモリアルパークに関し、議員から種々御提言をいただきました点も参考とさせていただき、今後に向け、議会を初め、市民の皆さんの意向などを踏まえながら、具体化に向けた話し合いの場を設けてまいりたいと考えております。 以上をもちまして、私からの答弁は終わりますが、引き続き、副市長、教育長並びに関係部長が答弁をいたします。 ○議長(海老原正人君) 副市長。  〔副市長若崎正光君登壇〕 ◎副市長(若崎正光君) 私からは、防災集団移転促進事業と漁業集落防災機能強化事業及び減額された復興交付金事業についての御質問にお答えいたします。 初めに、防災集団移転促進事業とは、住民の生命、身体及び財産を津波等の自然災害から保護するために、住居の集団的移転を促進することが適当である区域、いわゆる移転促進区域を定め、この区域内にある宅地を安全な住宅団地として整備する場所に移転していただく事業です。この住宅団地には、道路、公園、集会所、共同作業所などをあわせて整備することができます。 事業の適用要件といたしまして、住宅団地は5戸以上かつ移転対象住戸の半数以上の住宅が集団的に建設できる規模でなければなりません。 特徴といたしましては、移転促進区域では、住宅が建設されることのないように宅地等を買い取りし、必要な建築制限が行われます。移転先となる住宅団地については、移転される方に対し住宅敷地を賃貸または譲渡するもので、住宅の転居に要する費用や敷地の購入及び住宅建設のためのローンを活用する際の利子相当額を助成する内容となっております。 次に、漁業集落防災機能強化事業とは、被災地域における漁業集落の防災対策の見直しを行った上で地盤のかさ上げや避難地などの整備を行い、災害に強い安全で安心な居住地の確保を図る事業です。この事業も安全な宅地の造成や避難路、緑地などの整備が行えるほか防潮堤背後に水産関係や公共施設の整備を行うためのかさ上げを行うことができます。 事業要件といたしましては、漁家比率または漁業依存度が1位の集落で、集落人口が50人以上5000人以下であることとなっております。 特徴といたしましては、基本的に漁業集落の整備であり、地域水産業と漁村の復興に資する事業であることです。 事業用地は、いずれも買収が可能であり、住宅用地として整備される土地は、住宅を整備される方に対し、住宅敷地を賃貸または譲渡します。 両事業につきまして、いずれも安全な住環境を整備するという点では同様であるものの、住宅の安全な場所への集団的移転を目的とする防災集団移転促進事業には、規模要件がある一方で転居費用や利子補給などの配慮がなされており、漁業集落防災機能強化事業には、規模要件はないものの転居費用や利子補給などの助成は制度化されておりません。 このため、市といたしましては、適用される事業制度による助成内容の違いを解消するため、これら制度とは別に住宅再建に係る利子補給や工事に対する補助制度を導入することの検討を進めている状況にあります。 次に、減額された復興交付金事業は何かとの御質問ですが、東日本大震災復興交付金は、被災地方公共団体がみずからの復興プランのもとに進める地域づくりを支援し、復興を加速させるために創設され、著しい被害を受けた地域の復興地域づくりに必要となる事業を対象とするもので、ハード事業を幅広く一括化した基幹事業と、基幹事業に関連して自主的かつ主体的に実施する効果促進事業等から成ります。 市では、この措置を受け昨年12月に策定したスクラムかまいし復興プランに基づいて各種復興事業を立案し、復興交付金事業計画として取りまとめて、本年1月31日に第1回申請として当時の岩手現地対策本部に提出したところであります。その後設置された復興庁岩手復興局と詳細に調整しつつ協議を進め、先般3月2日付をもって配分可能額通知があったものであります。 配分を受けた事業の総事業費は、175億7000万円と申請額に対し、47億円余りの減額となりましたが、第1回目の配分となる今回は、著しい被害を受けた地域における生活基盤の再生、住まいの確保に重点を置き、かつ熟度の高い事業のみを措置したと伺っております。 この方針により、当市においては、建設場所等の詳細が調整中であった災害復興公営住宅建設事業の一部や、暮らしやなりわいと直ちに直結しないとも言える地域屋外スポーツセンター整備事業等が措置見送りとなったものと推測しております。 したがいまして、3月末に予定されている第2回申請に向けて、国を納得させ得る事業熟度の高さの確保を目指し、これら事業の内容精査に努めてまいります。 ○議長(海老原正人君) 教育長。  〔教育長川崎一弘君登壇〕 ◎教育長(川崎一弘君) 私からは、被災した小中学校の現況と今後の方向性及び小中一貫教育についての御質問にお答えいたします。 まず、被災した小中学校の現在の状況についてでありますが、唐丹小学校と唐丹中学校につきましては、昨年12月に唐丹中学校の敷地内に仮設校舎が完成し、今年1月から小学校、中学校ともに授業を開始しております。 また、鵜住居小学校と釜石東中学校につきましては、紀州造林旧釜石工場跡地に仮設校舎を建設中ですが、先に小学校分ができ上がり、2月27日から授業を開始しています。中学校分につきましては、3月下旬に引越し作業を行い、4月の新学期から仮設校舎での授業開始を予定しております。 次に、新校舎についてですが、唐丹地区、鵜住居地区それぞれに校舎建設検討委員会を設置し、その建設場所や建物の規模などについて検討を行っております。 釜石市復興まちづくり基本計画の12の主要施策のうち、スクラム11、新機能で地域を支える学校の整備において、被災した小中学校の新設に当たっては、安全な同一空間への立地を図り、それぞれ連携しやすい教育環境を考慮するとともに、防災拠点として機能の強化を図るとしており、また、社会教育施設や福祉施設、集会施設など地域の活動の場としての機能も兼ね備えたまちづくりの核となる施設としての整備を検討するとしております。 この考えをもとに建設検討委員会で議論しておりますが、唐丹地区については、現在の唐丹中学校の敷地内に唐丹小学校と唐丹中学校の新校舎を併設するということで意見がまとまっております。 一方、鵜住居地区につきましては、新校舎建設地を紀州造林旧釜石工場跡地と鵜住居町第13地割内の斜面の2地点に絞り、検討を行っております。 それぞれの場所の特徴ということですが、紀州造林旧釜石工場跡地は、津波の浸水域ではないこと、用地の造成費がかからないこと、鵜住居町第13地割内の斜面は、山を削った高台となり、津波の浸水から免れること、従来の鵜住居地区の中心部に位置することが挙げられます。 鵜住居小学校と釜石東中学校の新校舎建設場所については、今後も議論を続けますが、遅くとも新年度早々に決定できればと考えております。 次に、小中一貫教育についての御質問ですが、小中一貫教育校は、学習指導要領の範囲内で小学校と中学校のカリキュラムを連続させ、一貫した教育を行う学校で、9年間の子どもたちの発達を見通し、従来の学年や校種の枠を超えた横断的な指導ができるため、中1ギャップの緩和や小中学校教員の協力による学力向上につながるとされ、全国的に研究・開発に取り組まれております。 小中一貫教育校の成果として、小学校から複数の教師がかかわることによる授業形態の変化へのスムーズな対応や緻密な情報交換を行うことでの学習面、生活面での向上や安定、さらに中学校3年生が小学生の面倒を見るなど異年齢交流が自然に行われ、思いやりの心が育つことなどが取り上げられています。 一方で、小学校高学年のリーダー性や人間関係の固定による弊害、小中学生が一緒に生活することでの生徒指導上の問題等も指摘されています。 県教育委員会では、9年間のカリキュラム作成や小学校での教科担任制のあり方、小学校と中学校での相互の人材活用等の開発を目的として、普代村と奥州市で平成22年度からモデル研究を進めております。 大槌町でも震災を受けた小中学校の再編に伴い、小中一貫校に統合する方向で検討しており、盛岡市では、児童・生徒の滑らかな進学や小中学校教員の連携強化を目的にした小中一貫教育を市内全24中学校区で、各校・学校区を単位に平成27年度までに順次、研究指定校に指定し、拡大、普及を図るとの報道等がなされております。 当市では、全ての児童・生徒が震災を乗り越え、未来と夢が実現できるように、臨床心理士等による心のケアを継続実施するなど、知・徳・体のバランスのとれた「生き抜く力」を身につけるため、保護者や地域との連携・協働による学校経営に取り組んでいくこととしております。 これからの教育の推進を考えるとき、将来的に小中一貫教育の実施も有効な施策の一つとなる可能性があると考えておりますことから、今後も小中学校の連携を深めながら、他地区の取り組みに注視し、継続研究してまいります。 ○議長(海老原正人君) 総務企画部長。  〔総務企画部長山崎秀樹君登壇〕 ◎総務企画部長(山崎秀樹君) 私からは、仮設住宅の方々への行政の取り組み及び市発注工事に関する御質問にお答えをいたします。 初めに、仮設住宅の住民の方々のコミュニティー形成に関する行政の取り組み状況についてですが、仮設住宅への入居に際しては、地域コミュニティーを保持することの重要性は認識していたものの、余りに被害が甚大かつ広範囲に及んだこと、被災者の方々を厳しい避難所生活から一刻でも早く安心して生活できる仮設住宅へ入居していただくことを最優先に、被災者の方々から入居を希望する団地の申し込みを受け、さらに妊婦、子供、障害者、高齢者がいる世帯などを優先させ、入居の決定を行っております。 結果、仮設住宅へ入居は円滑に進みましたが、その後、住民交流会などのきっかけづくりを行い、生活課題の解決や居住者同士が交流することの重要性を認識していただくことで自治会づくりの機運を醸成してまいりました。 現在、66団地中36の仮設団地で30の自治会が設立され、既存町内会に編入した20の団地を加えると設置率85%となっており、準備段階の6団地を加えると94%が自治会設立に向けて動いております。 個別自治会の活動実態につきましてはさまざまございますが、共通している部分では、ごみ当番などの環境衛生や回覧板を介した隣近所とのコミュニケーションの促進、防犯・防火に関すること、支援機関との連携または独自企画による季節ごとのイベントや各種交流会、講座などが行われているものと承知をしております。 また、自治会活動の特徴的なものといたしましては、平田第5仮設団地、第6仮設団地、平田パーク商店街が主要団体となり、行政を含めた支援団体で構成する平田公園仮設団地まちづくり協議会が結成され、仮設のまちにおけるコミュニティ・ケア事業として、平成24年度の新しい公共の場づくりのためのモデル事業の採択に向け、申請を行っている例もございます。 次に、仮設住宅の方々の悩みや問題点の把握についての御質問ですが、悩みや問題点という場合、入居世帯に共通する生活課題や個別の世帯におけるプライベートな問題があろうかと思います。 まず、入居世帯共通の生活課題につきましては、街灯、舗装、収納スペースの改善要望など、居住環境の向上を目的としたものが代表的な例として挙げられますが、これらにつきましては、自治会設立前までは、個別に直接苦情として寄せられるほか、仮設団地を巡回している各地区生活応援センターの見守りスタッフ、生活支援相談員からの報告や県の被災者相談支援センター窓口、各種支援連絡会などでの情報交換により把握をし、その都度対応してまいりました。自治会の設立が進んでからは、水道凍結など季節的な要因を除き、個別の改善要望は相対的に減少し、公共性を重視した要望へと移行してきたという傾向がございます。 一方、個別世帯の問題につきましては、配偶者や恋人間の暴力いわゆるドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待、心の病など被災前でも把握することが難しい問題を包含しておりますが、関係機関による相談受理件数を含め、DV等の問題があることは把握をしております。そのほとんどが震災前からの相談や兆候があったようですが、震災の影響もあり得るものと認識をいたしております。 このような問題の多くは、直接被害者本人からの相談があって初めて支援が可能となること、専門相談員による対応が必要であること、個人情報の保護を行った上で解決を図ることが求められることから、難しい問題であると認識をしております。 今後とも行政や支援機関はもちろん、自治会あるいは隣近所も含めて一人一人が兆候に敏感になることで、早期に発見をし、速やかに専門機関につなぐことが肝要と思われます。 引き続き、関係機関による見守り体制の充実と連携、自治会を初め、住民の方々との信頼関係に基づく情報収集力の向上を図り、未然に防ぐよう最大限の努力を払ってまいります。 次に、市内業者が市発注工事を受注しない理由についての御質問にお答えをいたします。 まず、昨年3月の震災以降の市発注建設工事の入札執行状況について申し上げますと、本年2月末日までの工事発注件数は、土木工事が19件、建築工事が39件、電気工事が20件及び舗装工事などその他の工事が45件の計123件となっております。そのうち、落札をせず不調となった事例が8件ございました。 また、指名競争入札において指名した市内業者の入札辞退の届け出により入札を中止した事例が、建築工事で16件、土木工事で4件、その他の工事で6件の計26件となっており、発注件数に占める割合は、建築工事で約41パーセント、発注件数全体では21パーセントとなっております。 当市では、特殊な工事以外は原則として設計額に対応した指名等級ごとに市内業者を指名した競争入札を行うこととしておりますが、現時点で市外業者が受注したものは建築工事関係の2件となっております。これらの工事はいずれも市内建築A級業者が対象でしたが、さきの入札において、指名通知後に1社を残し、他の業者が辞退したため、指名競争入札が成立せず、入札を中止した事例でございます。改めて指名業者の選定について庁内で検討をした結果、当市の競争入札参加資格を有する業者のうち、岩手県の建築A級の競争入札参加資格を有する業者で沿岸広域振興局管内に所在する業者を除いた者と市内建築A級業者を指名し、再度入札を行ったものでございます。 市内業者が受注しない理由につきましては、個々に事情等があるものと存じますが、入札辞退の一つの要因としては、民間工事等の発注増加に伴う技術者、職人及び作業員の不足や建設資材価格の高騰による受注コストの急激な増高などがあるものと考えられます。 今後につきましては、岩手県で実施しております現場代理人の兼務に関する取り扱いや、公共工事設計労務単価の改定及び被災地以外からの労働者確保に要する追加費用に対する当面の運用などの各種対応に準じて、当市としても必要な措置を講じてまいりたいと考えております。 今後とも地域経済の振興はもとより、復旧・復興に向けた各種工事が停滞しないよう、円滑な工事発注に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(海老原正人君) 産業振興部長。  〔産業振興部長小林俊輔君登壇〕 ◎産業振興部長(小林俊輔君) 私からは、復興住宅に係る地域生産者のグループ化の取り組み及び観光交流についての御質問にお答えします。 まず、復興住宅に係る地域生産者のグループ化の取り組みについてですが、昨年11月に上閉伊地域林業・木材・住宅産業振興協議会が発足しました。この協議会は、東日本大震災からの復興を住宅供給の面から支援しようと、釜石、大槌、遠野、旧上閉伊地域の木材生産事業者、加工業者、建築業者等に加え、釜石市、大槌町、遠野市も構成員となり、地元の木材資源を使い地域の生活様式に適応した良質な復興木造住宅を供給するため立ち上げられました。 現在、木材の供給システムに係る体制整備とプランニングづくりに係る2つの部会とワーキングを定期的に開催し、加盟事業者間で連携して住宅供給体制確立や住宅企画立案等に向け取り組んでいます。 議員御質問のグループ化の動きは、岩手県地域型復興住宅推進協議会が進めているもので、過日、地域住宅生産者グループの募集説明会が開催され、グループ登録の受け付けが開始されております。 地域住宅生産者グループとして認定されたグループには、岩手県地域型復興住宅推進協議会のホームページで紹介されるとともに、国が推進する長期優良住宅としての規格を満たす住宅建設への構造や耐久性、断熱、維持管理に係る技術的支援が行われると伺っております。 さらには、国の地域型住宅ブランド化事業の対象グループとして発展させ、木造の長期優良住宅を建設する場合に、係る費用の一部を国が施工業者に補助し、結果として施工主に還元しようとするものです。 本年2月に上閉伊地域林業・木材・住宅振興協議会を上閉伊地域復興住宅協議会と改称し、この協議会そのものが国の地域型住宅ブランド化事業のグループの対象となることを確認したことから、協議会では現在申請手続を進めている状況です。 しかし、上閉伊地域復興住宅協議会の動きとは別に、親しい企業同士がグループを形成し、申請する動きもあるやに伺っておりますが、グループ化を進める上で、構成メンバーがまたがることも問題はない旨確認しておりますので、今後、上閉伊地域復興住宅協議会の動きについて、地元関係団体や企業に対し、検討の熟度を勘案した上、機会を見て改めて情報提供を行ってまいりたいと考えております。 次に、いわてデスティネーションキャンペーンに対する市の対応についての御質問にお答えします。 デスティネーションキャンペーンはJR6社と地方自治体などが協力して開催する日本最大規模の観光キャンペーンであり、岩手県を中心として開催されるのは昭和55年以来32年ぶりとなっております。 特に今回のキャンペーンは、東日本大震災からの復興に貢献し、観光の力で地域に元気と活力を生み出すことを大きな目標に掲げるとともに、世界遺産の平泉の効果を全県的に広めることを目指しております。 当市も参加しております、いわてデスティネーションキャンペーン推進協議会では、誘致・宣伝事業として首都圏やマスコミ等を対象とした旅行商品の造成、県内を4つに分けたエリア別と全県版のガイドブックの作成や各種誘客イベントを計画しております。また、受け入れ態勢の整備といたしまして、二次交通の充実や観光コーディネーターの設置などに取り組んでおります。 当市に関係のある事業といたしましては、内陸部の観光客を沿岸部へ誘引し、バス料金の一部が被災地の支援となる復興応援ツアーと、北上・釜石間をSLのD51型を運行する「SL銀河ドリーム号」が計画されております。 復興応援ツアーは、一ノ関方面と陸前高田市や大船渡市を結ぶ「陸前高田・大船渡号」、花巻方面と釜石市を結ぶ「遠野・釜石号」、盛岡方面と宮古市や岩泉町などを結ぶ「龍泉洞・北部陸中海岸号」の3路線が計画されており、当市を訪れる「遠野・釜石号」につきましては、花巻の温泉街をスタートし、新花巻駅を経由して、鉄の歴史館、鈴子地区の仮設店舗やサンフィッシュ、釜石物産センターに寄る計画であります。 運行期間は、本年4月14日から11月25日までの土日を予定しておりますが、特に誘客が見込まれるゴールデンウイークについては、4月21日から5月6日まで毎日運行する予定となっております。 当市といたしましては、復興応援ツアーの参加者に対し、鉄の歴史館におきまして、震災のパネル展示と観光ボランティアの方々が語り部となり、津波の体験談や当時の状況などを説明する計画です。昼食の場所となる鈴子地区の各店舗においても、接客の際に可能な限り体験談や当時の状況などをツアー参加者に伝えていただくようお願いしております。 また、北上駅から釜石駅までと、釜石駅から北上駅までを運行する「SL銀河ドリーム号」につきましては、鉄道ファンのみならず多くのファンがおりますD51型蒸気機関車を本年6月に延べ6回運行する計画となっております。このSL銀河ドリーム号への対応につきましては、市、JR釜石駅、釜石観光物産協会とで、歓迎イベントや特産品プレゼントの提供等につきまして、現在協議しております。 大震災以降、当市を訪れる観光客は大幅に落ち込んでおりますが、本県を中心に32年ぶりに開催されるいわてデスティネーションキャンペーンにより、観光客の増加と交流人口の拡大が期待されますことから、市といたしましても積極的に対応してまいりたいと存じます。 次に、震災後の観光交流に対する市の考え方についての御質問ですが、東日本大震災により、当市の主要な観光対象でありました根浜海岸や青出浜、観光船はまゆりなど、多くの施設が被災しました。 そのため、これまで当市が取り組んでまいりました、海や山の体験ができるグリーンツーリズムや鈴子地区で行ってきました「まるごと味覚フェスティバル」を初めとしたイベントにつきましても、海岸部の復旧状況や鈴子地区の駐車場確保の課題などから、改めて構築をしなければならない状況となっております。 今後、当市を初めとした三陸沿岸地域の観光動向がどのようになるのかはっきりしておりませんが、大震災以降、全国の多くの自治体から支援をいただいており、昨年10月と本年1月の復興イベントには、南は沖縄市から北は横手市や大仙市など多数の自治体が参加し、多くの方々が当市を訪れております。また、復興支援目的のボランティアは本年2月末までで、延べ3万8200人に上っておりますし、昨年11月以降、当市を訪れる被災地ツアー客も徐々に増加しております。 一方、国では東北地方太平洋沿岸の自然公園のうち、陸中海岸国立公園など傑出した自然風景を中核として、仮称ですが三陸復興国立公園として再編成し、観光地としてのまとまりの創出による連携強化や魅力の向上、地域活性化の基盤を創出しようとしており、また、青森県種差海岸から福島県松川浦までの間に「南北につなぎ交流を深める道、長距離トレイル」を整備する計画で、今年度から調査事業等に着手しておりますので、これらの事業の動向を注視してまいりますが、今後、復旧・復興により観光施設の再整備が行われるまでの間は、被災地ツアーや防災教育関係のツアーを観光の中心として考えております。 したがいまして、語り部となる観光ボランティアの育成強化や、ツアーの拠点として位置づける予定の鉄の歴史館の充実、また、大震災以降当市を訪れたボランティアへの情報発信事業や、支援をいただいた自治体との交流を拡大し、観光客の増加と交流人口の拡大に努めてまいります。 以上をもちまして、答弁を終わります。 ○議長(海老原正人君) 合田良雄さん。 ◆4番(合田良雄君) それでは、再質問をさせていただきます。 生活の再建についてであります。 漁業集落防災機能強化事業には、規模要件はないが、転移費用や利子補給などの助成は制度化されていないということが大きな特徴で、これは漁業を営んでいる人たちにとっても非常に困ることであります。 これに対しまして、先ほどの御答弁では、市当局ではこの制度とは別に住宅再建にかかわる利子補給や工事に対する補助制度を導入することの検討を進めているということで、これは非常に心強く思っております。ぜひよろしくお願いしたいなと思っております。 また、減額された復興交付金事業は何かという質問に対しまして、建設場所等の詳細が調整中であった災害復興公営住宅建設事業の一部が措置見送りとなったものと推測しているということでありましたが、間もなく3月末の第2回申請の時期でありますが、国を納得させ得る事業熟度の高さは確保できましたでしょうか。お尋ねしたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 総務企画部長。 ◎総務企画部長(山崎秀樹君) 3月に出される申請のその熟度は確保できたのかという御質問でございます。 御存じのとおり3月2日に1回目の配分がなされたわけですけれども、それらを踏まえて指摘されている事項につきましては、コストの削減、それから事業の改めての熟度、必要性の部分を改めて高めてくださいという内容のものでございます。それらを踏まえて、3月の末には1月につかなかった事業を中心にしながら、より熟度を高めてお出しをするという今準備を進めております。 特にも復興庁の岩手復興局釜石支所ができたものですから、窓口ができたものですから、そちらのほうと十分な調整協議をしながら現在作業を進めているというところでございます。熟度のほうは、そのことを踏まえながら十分確保していくということになろうと思います。 ○議長(海老原正人君) 合田良雄さん。 ◆4番(合田良雄君) ひとつよろしくお願いしたいと思います。 率的には釜石、割とほかから比べましても高かったような気がいたしますけれども、ぜひ熟度を高めながらやってほしいなと思います。 仮設住宅の件ですけれども、先ほど66団地中94%の仮設団地に自治会が設立したということでありますが、設立なっていないその6%の仮設団地からコミュニケーション不足による諸問題が発生する可能性があるわけであります。100%を目指すべきだと思いますが、設置しづらい理由とかあるのでしょうか。お伺いします。 ○議長(海老原正人君) 復興推進本部仮設住宅運営センター所長。 ◎復興推進本部仮設住宅運営センター所長(小池幸一君) お答えいたします。 現在、先ほど94%ということでしたけれども、その数値の中にはまだ設立を経ていない団地が含まれておりますけれども、その自治会を設立する動きがない団地ということで6%、団地数にして4団地がございます。 現在、その4団地の内訳といたしまして、派遣応援職員が居住する団地ということで2団地がございます。その他2団地につきましては、規模的にかなり世帯数が少ない、そのほか、派遣職員と混在している仮設団地というのがございまして、核となる人がおらず、なかなか意識の醸成を構築するのが難しいという団地がございます。ただ、現状からいいまして、コミュニティー醸成ということの観点から、今後とも100%を目指してこの自治会の設立というのを進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 合田良雄さん。 ◆4番(合田良雄君) よろしくお願いいたします。 教育行政についてでございます。 被災した小中学校の新校舎建設予定地ということですが、被災した地区の新校舎ですが、唐丹地区では現在の唐丹中学校敷地内に小・中両方の新校舎を建築するということでまとまっているようでございますが、鵜住居地区では新校舎建設地を2カ所に絞って検討中ということであります。鵜住居第13地割内の斜面は、山を削っての宅地造成費は費用がかかるということでありますが、この教育に関する造成費用というものは国が全面的に見てくれるのではないのでしょうか。お尋ねします。 ○議長(海老原正人君) 総務学事課長。 ◎総務学事課長(村井大司君) お答えいたします。 鵜住居地区、鵜住居小学校、釜石東中学校の校舎の災害復旧ということの事業になります。 災害復旧の事業の場合、今回の場合につきましては用地、別なところに建てる場合にも用地取得費、造成費については国のほうで面倒見てもらえるということになっております。 ただ、どれくらいの金額まで、本当にこんなにいっぱいかかるのというふうな金額まで見てもらえるのかどうかというのは、その限度というのはわからないところが今ございますが、万が一でもその災害復旧で見られない場合でありましても、鵜住居地区で整備しようとしている手法の中で土地の造成費も見れる可能性もありますので、その可能性、もし造成が必要であれば、それも追求していきたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 残り2分半少々です。 合田良雄さん。 ◆4番(合田良雄君) 釜石市復興まちづくり基本計画の12の重要施策のうち、スクラム11新機能で地域を支える学校の整備において、社会教育施設や福祉施設、集会施設など地域の活動の場としての機能を兼ね備えたまちづくりの核となる施設としての整備を検討するとしておるわけでございますが、そうしますとおのずと従来の鵜住居地区の中心部にあったほうがまちづくりの核となる施設になり得ると思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(海老原正人君) 総務学事課長。 ◎総務学事課長(村井大司君) 確かにそういったお考えもあるということは承知しておりますけれども、そういった中身も含めまして、今、建設検討委員会のほうで検討しておりますので、その推移を見守っていきたいと思います。 ○議長(海老原正人君) 合田良雄さん。 ◆4番(合田良雄君) いずれ現業の方々の意見、つまり当事者である学校の先生あるいはPTAの意見もしっかり聞きながら、ぜひ子供たちにとって最良の選択の場所ということで決まるように望みたいと思います。 終わります。 ○議長(海老原正人君) 4番合田良雄さんの一般質問を終わります。--------------------------------------- ○議長(海老原正人君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。               午後4時29分散会                         釜石市議会議長 海老原正人                         釜石市議会議員 川崎勇一                         釜石市議会議員 佐々木義昭...